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第14話
夢を見ていた、いつものような悪夢じゃなかった。
説明不可な、子供みたいな思い出すと恥ずかしい頓珍漢な夢、その中でふとそういえば何時だろうと思い目を覚ました。
いつもはピリッとした反射的な目覚めなのに、今日はとても穏やかな目覚めだ。
朝日が窓に反射している。
昨日の雨はすっかり止んでいた
隣にはもう彼の姿は無かった、それは別に大したことでは無い、いつも目覚めの時隣には誰も居なかった。
のそりと起き上がり、小さなテーブルの上に置いてあるご飯に気がつく
空の茶碗とラップのかけられたお皿がちょこんと佇んでいて、その上に乗っかているチラシ裏を使ったメモには「朝ごはん食えよ、鍋温めて」とだけ書かれていた
うわ、なんだこれ…
たったそれだけのメモ書きにじんわりと目頭が熱くなった
今までといえば華美な装飾が施されてた部屋、そこに充満する事後の匂い、気怠い体
メモ書きといえば連絡先が書かれた紙一枚だけ
そんな事とはかけ離れた特別な朝が嬉しいのに涙が一筋流れた
「はっ?何泣いてんだ俺、早く食べよ…折角だしな、そうそう、折角だから」
おおげさに伸びをし、ご飯をよそい味噌汁を温めた。
小さなテーブルに、一汁一菜の飯がある
それだけで口の端が吊り上がってしまう
用意してくれた男に感謝を込めて、手を合した。
「いただきます」
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