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第13話
彼もお風呂から上がると彼が事前に買っておいた弁当を一緒に食した。
代金を支払おうとしても、そんな事しなくていいの一点張りで受け取らなかった。
お腹が満たされれば次に来るのは眠気。
気を失ってて気にしていなかったが何気に時間は日を跨いでおり緋彩さんも大きくあくびをしている
「んじゃ、寝るか。お前はベッド使えな」
そういうと彼はそそくさとソファに薄い寝転がり薄い毛布をかぶる。
「えっ、一緒にベッド使おうよ」
「お前自分で何言ってるかわかるか?」
「お、俺さ…毎日誰かに抱き潰されて寝てたから疲れてないと寝れなくて…すぐ目が冴えるんだ」
喉に力が入って声が震える、おまけに手まで震えてくる。
実際のことだし嘘は言ってない、ただ抱き潰されないと夢見が悪くて夜中に飛び起きるてだけ
「…」
緋色は黙ったままこちらに来てベッドに座った。
「あ・・・」
こっちが彼の胸に腕を伸ばすと彼はガバっと腕を広げて包まれた。
胸の音が聞こえて、自分の心臓が痛いほど跳ね上がる。
自分から言っておいて今更怖いとか、後悔してるとか情けない。
「お前は何を考えてるわけ?」
「えっ」
緋色はこちらを真っ直ぐ見る、その眼差しでこちらの思惑がバレているのを悟った。
「まぁ、知らない間に家に連れ込んでおいて信用しろって方が無理なのわかるから、極力不安にしないようにしたんだけど、ここで俺がお前の誘いに乗ってその後どうするつもりだった?」
バレているなら話すしか無い
「試した」
「ああ」
「何も・・・しないでほしくて、確信が欲しくてあんたのこと試した。
ごめん出ていくから、ごめんなさい」
彼の腕から抜けようとしたけど、回された腕に力が込められ抜け出せなかった。
彼は怒る代わりに首を横に振った。
「そんなのしなくて良い、今まで苦労したんだな」
優しくでも力強いその腕に、まるで自分が大切なもののように扱われてる気がした。
随分昔にもこの温もりを感じたことがあったかもしれない、それだけでもう十分だった。
「ごめんなさい、騙してごめんなさい。俺本当に抱き潰されないと怖くてねれない・・・夢を見るんだ、でも違くて・・・違うんだ。あんたにそんなことは求めて無くて・・・でも、なんだろう、あんたすごくあたたかいなぁ」
ぽつぽつと自分の心の中にあった暗い部分を少しだけ吐露した。
それだけで救われることもあるんだと、安堵感でいっぱいで涙がこぼれそうだ
そして少しの間彼の腕の中に包まれて離された。
「隣にいるけど、寝れなくても良いから」
と彼は部屋の照明を消して横になった、俺も静かに横になり壁側を向く
壁がけ時計の針の音を聞きながら暫くして隣から寝息が聞こえた。
静かな夜、窓を叩く雨の音に耳を傾ける
ベッドに二人で居るという状況は変わらないのに、心模様は随分と違う。
リズミカルな音と隣の落ち着いた寝息にいつの間にか微睡みの中に落ちていた。
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