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第15話(後日加筆修正予定)
買い物後は真っ直ぐ帰るものかと思っていたが、理人の「近くに小さな公園があるのでちょっと休んでいきませんか?」という提案で軽い寄り道をしていくことになった。
「遼、何にしたの?」
「コーヒー」
「へえ、ブラック飲めるんだ。凄いな」
そう話す朔の手にはカフェオレが握られている。
『理人は何にしたんだ?すごい悩んでたけど』
「俺はいつも通り水にしました。たくさんあると中々決めれないんですよね〜」
そんな話をしながら自販機で買った飲み物を片手に4人でベンチに座った。
「そういえば俺、前から遼くんに聞いてみたいなって思ってたことがあるんですけど」
「え、何?」
柔らかい雰囲気ながらも改まった理人の口調に少し身構える
「東京ってやっぱりどこも人が溢れてたりビルもたくさん建っているものなんですか?」
「え?いや、うーん……場所によると思う。確かに都心部はそんな感じだったけど、俺が住んでた場所はそこまででもなかったし」
「へえ、テレビとかでみる東京っていかにもって感じだったので、全体的にそうなのかなあって思ってました」
実際に行ったことないので、という理人の言葉に「俺もないなあ」と朔が続ける。
「朔くんは人混み苦手ですもんね。中学の時に修学旅行で行った観光地でも具合悪くなってませんでした?」
「あー……そんなこともあったな。東京なんて行ったら倒れそう」
「え、2人って同じ中学出身なのか?」
唯、亜希、サヤは全員違う中学からきていると聞いていたため、何となく全員違うところから集まってきているのかと思っていた。『俺もそれ初耳』と唯も身を乗り出す。
「そうですよ〜。でも別に俺たちふたりで意図的にこの学校に進学したわけじゃないですよね〜。入学したら偶然お互いがいたというか」
そうだな、と朔が頷く。
「ふーん……なんでこの学校を選んだの?」
理人、朔、唯の顔を見渡して尋ねると「俺は人の少なさを重視して学校選んだらここになった」とまず朔からシンプルな答えが返ってきた。
「俺は志望してる学校が別にあったんですけどそこに落ちて行くとこなくなっちゃったのでこの学校に来ました〜」
『俺もこことは別に行きたい学校があったんだけど、親にこの学校に入れって言われて入学した』
想像よりも重い理由をさらっと話されどう反応したら良いのかわからなかった。自分以外は皆、最初から志望してこの学校に入っているのかと思っていた。
『まあでも、俺はこの学校入って良かったなって今は思ってるよ』
遼の内心の戸惑いを見透かしたように隣に座る唯がふんわり笑う。唯の返答に安堵した。
「東京の学校って校則とか結構厳しかったりするんですか?」
「いや、すごく厳しかったわけじゃないけど……俺には合わなくて」
言ってから何となく話をマイナス方向に持っていってしまったような気がして「でもこの学校の雰囲気や自由さは好き」と慌てて付け加える。
「あ、終わっちゃった。ゴミ捨ててきますね」
空になったペットボトル捨てるため立ち上がった理人に『俺も』と唯もついていく。ベンチから少し離れた場所にあるゴミ箱に向かって歩いていく2人の背中をぼんやりと見送った。
「……………………。」
朔と遼の間を少し肌寒い風が通り抜けていく。最初の頃のような恐怖心は和らいでいるものの2人きりという初めての状況に何を話したらいいのかわからず、もうほとんど空になっているコーヒー缶を無意味に凝視した。
「コーヒー好きなの?」
「え」
声のほうを向くと青い瞳と目が合った。
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