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第14話
「たまねぎとじゃがいもが……2個……にんじんが……何本でしたっけ?」
理人の問いに「1本」とスマホでレシピを確認しながら答える。
「普段自分で買わないので知らなかったんですけど野菜って結構高いんですね。予算超えないかな……」
「値上がりしてるってニュースでもよくやってるよな。計算しながら選んでるし大丈夫だと思うけど……」
カゴにいれたにんじんの値段を電卓アプリに入力しつつ、あっちの2人はそろそろ戻ってくるかな……と周りを軽く見渡すと、視線を向けた方角から肉とカレールーを探しに別行動をしていた唯と朔が戻ってくるのが見えた。
『色々種類あって迷ったけど一応いちばん安いやつにしといた。中辛で良いんだよな?』
パッケージを確認しつつ唯は持ってきたカレールーを遼が持つカゴにいれた。
「鶏肉も鶏胸肉と鶏もも肉があったけどもものほうで合ってる?胸肉のほうが安かったけど」
「この金額なら予算内に収まるしレシピにももも肉のほうが使われてるから……いいんじゃない」
渡された鶏肉の値段と電卓上の残金を見比べながら遼が答えると「それなら良かった」と朔が笑う。光が反射している朔の青い瞳が宝石のように輝いて見えた。
「…………?なに?」
首を傾げられ、別に何でもないと視線を店内に戻す。
「あ、そういえばカレーと一緒にスープも作らなきゃいけないんですよね」
『玉ねぎもう1個追加してコンソメスープとかにする?』
そう話す理人と唯の後ろを朔と並んで歩く。
こんなに近い距離で長い時間一緒にいるのは初めてだった。いきなり何でも話せるような仲になれるわけではないものの、今までのような恐怖や緊張も感じない。
「朔くんと遼くんは何スープが良いですか?」
振り返って尋ねてきた理人に、こういうのもいいんじゃないかとネット内のレシピを見せる。
“あの時”と今は別物だということがこの買い物を通して遼の胸の中にストンと落ちていった。
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