3 / 123

第3話

会社につき、いつもより上の空で仕事をする。 仕事といっても書類整理と社長の世話だけだけど。 コーヒーの種類を間違えたり、書類の数を少なく印刷したり。 しっかりしないとと焦れば焦るほどミスが増えていく。 「魅弥、どうした?お前がミスするなんて珍しいな。初めてじゃないか?疲れているのなら、今日は特に何もないから帰って休んでおけ」 「いえ、そんなわけにはいきません。」 「ならはっきり言うが、仕事の出来ない奴はいらない。今日は休んで明日からしっかり働け。」 悔しさと恥ずかしさで泣きそうになった。 でも、確かに仕事の出来ない俺は迷惑以外のなにものでもないだろう。 一礼して部屋を出て早足で玄関まで歩く。 止まっていたタクシーに乗り込み、住所を告げるとため息をつく。 くだらない私情を仕事に持ち込んだうえ、ミスをした。 ただ、いらないと言う言葉がずっと頭の中を流れていた。

ともだちにシェアしよう!