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第3話
会社につき、いつもより上の空で仕事をする。
仕事といっても書類整理と社長の世話だけだけど。
コーヒーの種類を間違えたり、書類の数を少なく印刷したり。
しっかりしないとと焦れば焦るほどミスが増えていく。
「魅弥、どうした?お前がミスするなんて珍しいな。初めてじゃないか?疲れているのなら、今日は特に何もないから帰って休んでおけ」
「いえ、そんなわけにはいきません。」
「ならはっきり言うが、仕事の出来ない奴はいらない。今日は休んで明日からしっかり働け。」
悔しさと恥ずかしさで泣きそうになった。
でも、確かに仕事の出来ない俺は迷惑以外のなにものでもないだろう。
一礼して部屋を出て早足で玄関まで歩く。
止まっていたタクシーに乗り込み、住所を告げるとため息をつく。
くだらない私情を仕事に持ち込んだうえ、ミスをした。
ただ、いらないと言う言葉がずっと頭の中を流れていた。
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