2 / 123
第2話
「社長!毎朝毎朝、飽きもせず。後腐れのないお相手でもさっさとみつけられたらどうですか?」
ひどいことを言ってる自覚はあるし、言った本人が1番傷ついている。
「女には最近飽きてきてな。少しぐらいいいだろ、魅弥。」
女性を飽きただなんて言葉に、安心している自分が嫌だ。
「しかし、それももうすぐ終わります。会長が社長のお相手を見つけられましたので。良家の御息女でとびっきりの美女だとか。顔合わせは明後日の土曜日6時からです。予定は入れないでくださいね。」
「は?あいつ何考えてんだよ。俺は結婚なんかしないのに。魅弥、断れ。」
俺だって断ってほしい。
でもそんなの。
「できるわけがないでしょう。会長の決められたことは絶対です。会長のことをあいつなどと呼ぶのもおやめください。」
「魅弥はほんと親父びいきだよな。もうちょっと俺の意見も聞けよ」
俺が会長に逆らえるわけがない。
「会長には、一生かけても返せない恩があります。会長がいなければ今頃どうなっていたことか。感謝しきれません。」
社長は一つ舌打ちをして、ご飯を食べ始めた。
社長が結婚する。
いや、結婚とまでは言われていない。
お見合いをするだけだ。
今は、まだ。
長年こじれ続けた恋心はきっとなかなかほどけない。
ともだちにシェアしよう!