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第2話

「社長!毎朝毎朝、飽きもせず。後腐れのないお相手でもさっさとみつけられたらどうですか?」 ひどいことを言ってる自覚はあるし、言った本人が1番傷ついている。 「女には最近飽きてきてな。少しぐらいいいだろ、魅弥。」 女性を飽きただなんて言葉に、安心している自分が嫌だ。 「しかし、それももうすぐ終わります。会長が社長のお相手を見つけられましたので。良家の御息女でとびっきりの美女だとか。顔合わせは明後日の土曜日6時からです。予定は入れないでくださいね。」 「は?あいつ何考えてんだよ。俺は結婚なんかしないのに。魅弥、断れ。」 俺だって断ってほしい。 でもそんなの。 「できるわけがないでしょう。会長の決められたことは絶対です。会長のことをあいつなどと呼ぶのもおやめください。」 「魅弥はほんと親父びいきだよな。もうちょっと俺の意見も聞けよ」 俺が会長に逆らえるわけがない。 「会長には、一生かけても返せない恩があります。会長がいなければ今頃どうなっていたことか。感謝しきれません。」 社長は一つ舌打ちをして、ご飯を食べ始めた。 社長が結婚する。 いや、結婚とまでは言われていない。 お見合いをするだけだ。 今は、まだ。 長年こじれ続けた恋心はきっとなかなかほどけない。

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