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第5話

ホテルから徒歩3分ほどの会長の家の門の前に立つと、この家の執事の声がして、門が開いた。 お城のような見た目の家はとても広い。 歩き慣れた廊下を進み、部屋の扉の横に手をかざすとカチっと鍵の開く音がする。 「魅弥、早かったね。」 椅子ごと振り返り微笑む姿はどうやっても優しそうな30代にしか見えない。 もうすぐ50になるはずなのだが。 「会長と早くお会いしたくて。」 「ははは。それより魅弥、会長なんてよそよそしいな。父さんと呼んでくれて構わないよ。」 会長の好みを意識した愛想笑い。

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