19 / 123
第19話
ふと横を見ると社長が不満げな顔をしている。
「どうかなさいましたか?」
「魅弥、お前はいつ敬語を使わないんだ?敬語しか聞かなくなったが。」
「すみません。常に敬語を使うようにします。」
「逆だ、逆。俺は昔みたいにお前と遊びたいんだがな。」
プライベートでまで貴方と会ったら、この気持ちがきっと抑えられなくなる。
「遊びは華弥とした方が楽しいでしょう。くだらない事を言ってるうちに会長の部屋の前に着きましたよ」
扉を開けようとすると、緊張で指が震えた。
「失礼します。」
部屋に入ると、会長が笑みを浮かべて待っている。
社長がソファに座る動作さえもかっこよくて見つめていると、俺も座るように会長に促された。
2人がけのソファは距離が近くなって少し、嬉しい。
「玻璃、昨夜のお見合いでよくあんな事をしてくれたね。あの令嬢の家とは親交が深かったのに。」
“なんか変”というのは本当だったらしく、ずっとニヤニヤしている。
気持ち悪い。
「親父が勝手にセッティングするからだろ。俺は魅弥と付き合ってるから、これからそういうのはやめてくれ」
「魅弥、本当に付き合ってるの?」
にやりと気持ち悪い笑みを向けられる。
さっと目をそらしてうなづいた。
「はい。認めていただけませんか?」
ともだちにシェアしよう!