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第19話

ふと横を見ると社長が不満げな顔をしている。 「どうかなさいましたか?」 「魅弥、お前はいつ敬語を使わないんだ?敬語しか聞かなくなったが。」 「すみません。常に敬語を使うようにします。」 「逆だ、逆。俺は昔みたいにお前と遊びたいんだがな。」 プライベートでまで貴方と会ったら、この気持ちがきっと抑えられなくなる。 「遊びは華弥とした方が楽しいでしょう。くだらない事を言ってるうちに会長の部屋の前に着きましたよ」 扉を開けようとすると、緊張で指が震えた。 「失礼します。」 部屋に入ると、会長が笑みを浮かべて待っている。 社長がソファに座る動作さえもかっこよくて見つめていると、俺も座るように会長に促された。 2人がけのソファは距離が近くなって少し、嬉しい。 「玻璃、昨夜のお見合いでよくあんな事をしてくれたね。あの令嬢の家とは親交が深かったのに。」 “なんか変”というのは本当だったらしく、ずっとニヤニヤしている。 気持ち悪い。 「親父が勝手にセッティングするからだろ。俺は魅弥と付き合ってるから、これからそういうのはやめてくれ」 「魅弥、本当に付き合ってるの?」 にやりと気持ち悪い笑みを向けられる。 さっと目をそらしてうなづいた。 「はい。認めていただけませんか?」

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