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第59話

目を覚ますとそこは社長のベッドで。 「あそこで気絶したら、だめだろ……」 身体が綺麗に拭かれていることに気づいて、ため息をついた。 枕元には、社長からの置き手紙があった。 “魅弥へ 悩みがあるのなら聞くし、俺と会いたくないのならそれで構わない。 ただ、しばらくはこの部屋にいてくれ。 なにか必要なものがあれば、伝えてくれたら、買っていく。” 俺が一方的に迷惑を掛けただけなのに、社長は優しすぎると思う。 こぼれ落ちる涙を止めることができなかった。 深呼吸して少し落ち着くと、急にスマホが振動しだした。 『魅弥、玻璃とやったんだって?どうだった?楽しかった?』 ため息をつきたいの必死にこらえた。 それにしても、こんなプライベートな情報どうやって掴んでるんだろうか。 「すみません。何かの間違いではありませんか?」 『あははっ、じゃあ間違いなのかも。それより、これからどうしたい?』 「どうしたいんでしょうね。」 俺だってわからないんだ。 『今日、玻璃が帰ってきたら素直になってちゃんと話しなさい。自分のことをちゃんと言えよ?』 言うだけ言って、楽しそうに電話は切られた。

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