59 / 123
第59話
目を覚ますとそこは社長のベッドで。
「あそこで気絶したら、だめだろ……」
身体が綺麗に拭かれていることに気づいて、ため息をついた。
枕元には、社長からの置き手紙があった。
“魅弥へ
悩みがあるのなら聞くし、俺と会いたくないのならそれで構わない。
ただ、しばらくはこの部屋にいてくれ。
なにか必要なものがあれば、伝えてくれたら、買っていく。”
俺が一方的に迷惑を掛けただけなのに、社長は優しすぎると思う。
こぼれ落ちる涙を止めることができなかった。
深呼吸して少し落ち着くと、急にスマホが振動しだした。
『魅弥、玻璃とやったんだって?どうだった?楽しかった?』
ため息をつきたいの必死にこらえた。
それにしても、こんなプライベートな情報どうやって掴んでるんだろうか。
「すみません。何かの間違いではありませんか?」
『あははっ、じゃあ間違いなのかも。それより、これからどうしたい?』
「どうしたいんでしょうね。」
俺だってわからないんだ。
『今日、玻璃が帰ってきたら素直になってちゃんと話しなさい。自分のことをちゃんと言えよ?』
言うだけ言って、楽しそうに電話は切られた。
ともだちにシェアしよう!