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第72話

「何でもありません。気をつけます」 「悩みがあるならちゃんと言ってくれ。恋人だろう?」 何人目かの、な。 社長と一緒にいたいって思わないといけないのに、一緒にいたくない。 「そうですね。恋人、ですし相談はしますよ。ただ、今は本当に何でもないので」 そうかと返され、優しく頭を撫でられた。 この頭を撫でられるのだって、今まで何十人にやってきたんだろうな、とか。 そんなの仕方ないのに。

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