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パラレル◆ミックス

◆パラレルミックス ※『』台詞はここでは日本語とします。 ※オリジナルの世界線に集合します。 ※なんでも許せる方向け。  目が覚めると、ベッドの上がショットでいっぱいだった。いや、おかしな薬はやってねえよ。 「な、なっ、なに……!?」 「んん、ちゃた?」  俺の背中に抱きついてるのはいつものショットだ。んで、目の前にいるのはよく似てるけど、もう少し歳食ってる感じで、左眼に傷はあるけど義眼じゃない……コイツは仮にシュートとしよう。それから、シュートと俺の間に挟まって、腹にしがみついてきてる……これもショットか?小さい。まだ5歳くらいに見える。とりあえずテディでいいか。 『ちゃた、あんまりねるの、あたまいたいから』 「え、えっ!?」  声がした方に目を向けるとエプロン姿にレードルを手にしたショットがいた。か、かわい……いや、そうじゃなくて、まだいるのか!?しかも知らない言語を話してるし。顔に傷のないショット……ええと、じゃあ、"傷なし"シュートはダメか?もう、それでいいか。  どうやら、コイツらはまじで全員ちゃんと本物で、それぞれ少しずつ違う特徴があるらしい。 「ほら、こぼすなよ」 『へへ』  どうもこの……知らない言葉を話す"傷なし"は一番の甘えん坊だ。それで、義眼じゃないシュートは、一切話さなくて、目を閉じたまま、反応が薄くて、一番……あどけない。メシにしようって声かけたけど、今も寝室でぼーっとしてる。 「ちゃた……」 「ごめんなショット、お前は後でしてやるから」  いつも座ってる俺の隣には今日は傷なしがいるから、向かい側にショットを座らせた。んで、今は膝に座ってるテディにメシを食わせながら、傷なしの口元を拭くので忙しい。俺はただでさえ片腕しかねえんだから。  でもこういう時、ショットをまず最優先にすべきだったのかも、と悩む。ほら、下の子が産まれたらまず上の子を優先する、みたいな話、よく聞くし。 「……」  あーあー、やばい、ぺしょぺしょになってる。泣くな、泣くなよ。そんな顔、させたくねェんだ。 「テディ、もう食べれたか?」 「ん」 「じゃあちょっとこっちで待ってろ」  とりあえずベッドで座っててもらおうと立ち上がると、傷なしもついてきた。 「ここでな……うわっ」  そしたらぼーっとしてたシュートが急に腕を引いてきて、抱き込まれる。 「あ、ちょ、こら」  更に後ろからは傷なしもくっついてくるし、テディに頬を舐められた。やばい、イヤな気がしないから困る。だって、こんな、仕方ねえだろ。 「お……お前ら、あのな……」  思わずデレデレしかけた瞬間、傷なしが俺から引き剥がされて床に突き飛ばされた。ショットだ。 「おいっショット」 「ちゃた……おれの!!」 『なに、わかんない』  相手が自分だからか?ショットがこんなに、人に対して"怒り"を露わにする姿なんて、俺が傷つけられた時以外で初めて見た。 「ショット、悪かった、お前が……」 「うるさい!!」 「っうわ!」  ケンカはダメだ、二人とも無事じゃ済まないだろう。そう思ってショットの腕を不用意に掴んだら乱暴に振り解かれて壁に体と頭を思い切り打ちつけた。 「うっ……く、げほっ、げほっ!」 「ちゃた!」  テディが駆け寄ってくる。背中を打ったから息が詰まって、咳が。まずい、グラグラしてすぐに立てない。 「はぁ、はぁっ……う、げほっ」 『ちゃた……! おまえ……きらい』  何を言ってンのかはわからねえけど、傷なしの声に強い怒りが滲んでるコトだけはわかった。やめろ、悪い言葉は使うなよ……なんて、俺はこんな時にまで何を気にしてンだか。 「……」  どうしよう、ショットもブチギレてる。とにかくテディとシュートを部屋の隅に誘導して、動くなと言い聞かせた。リビングに避難させたいけど、扉の前でショットと傷なしが対峙してるから。 『ちゃたに、ひどいことした』 「……きらい」  ショットの手が腰に伸ばされる。そうだ、ホルスター……サッと視線を動かすと、まだサイドボードにあったから慌てて回収した。  腰に銃が無いことに気が付いて、ショットは拳を握りしめる。止めたいけど、非力な俺じゃ絶対に状況を悪くするだけだ。どうすりゃいいんだ……。 「出てけ!」  ショットが壁を殴りつけるとアパート中に響き渡る轟音が鳴る。やめろよ、骨が折れちまうから。 『こわくない。 "ちゃた"は、おれの』 「ちゃた、言うな!!」  ショットが掴み掛かって傷なしが引き倒される。アイツ、着てるモンも上等そうだし、きっとケンカなんか、したコトがねえんだ。 「ショット、やめろ!!」  ベッドを飛び越えて、振りかぶられた拳に抱きついて、全身で止める。でも凶暴化してるショットが俺の左腕の先に思いっきり噛みついてきた。 「あ、ぐっ……!」  いつもは甘すぎるくらい優しく触れてくれるこの傷痕に、初めて歯を立てられた。ショットは途端にハッと青ざめて硬直し、血の流れ出した俺の左腕を見つめる。 「ちゃた、ちがう、おれ」 「大丈夫だから、落ち着け」  泣き出しそうなショットの頭を抱き込んで、嫌な思いさせてごめんって言えば、背中に腕を回してくれた。 『おーい、交代交代』 「なんだよ、ケンカしたのか?」 「だから先に行かせたらケンカになるかもって俺言ったのに! テッド、大丈夫か!?」  不意にそんな声が聞こえて視線を上げたら、今度は俺がゾロゾロと現れた。 「な、っな……!?」 「よお"茶太郎"。今日はこの世界線に集まるって話だったからさ」 「……ちゃた?」 『おう、全員ちゃただぞ』  目を白黒させてる俺をよそに、それぞれが自分のパートナーなんだろうシュートを連れて、リビングへ追い立てる。 「ほら、アイツらは帰らせたから、次はこっちの番だな」 「さっきから何の話だよ!」 「うーん、サービス?」 『ほらシュート、泣いたのか? バカだな、泣かなくていいんだ』  また何を言ってンのかわからねえ"俺"が、俺からショットを奪い取ってベッドに連れてく。おい、ショット、何を素直に連れてかれてンだ。そんでそんな、ハグするみたいにくっついて……! 『よしよし』 「……ちゃた」  なんだその目、そいつは俺じゃねえだろ。 「えっと……ここでの名前はシュートなのか。 シュート、ドーナツもあるよ」 「うん」  小さい俺が、頭を撫でられてるショットの口元にドーナツを持っていく。やめろよ、まだメシ食わせてねえのに。 「そう妬くなよ。 さっきお前だって"サービス"受けたろ?」 「はあ!?」 「今度はシュートの番ってこった。 おいシュート、若い頃の姿もやっぱ可愛いなお前は」  ちょっと年上っぽい俺がそう言いながら額にキスをすると、ショットの声が蕩けた。 「ん……ちゃたろ……」 「お、おいっ、やめろよ!」 「なんでだよ? こんなに喜んでンのに」  ああ、さっきの俺もこんな感じだったのかよ。モヤモヤする、モヤモヤして……! 「ショットは"俺の"恋人だから!! 指一本触れンな!!」  そう叫びながら飛び起きて目が覚めた。 「んん……ちゃた?」 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」  最悪。まじで最悪の気分だ。夢でよかった。昨日、変なモンでも食ったか? 「……なんでもない、ごめんな」  窓の外はまだ真っ暗だ。最愛の恋人の頭を抱きしめて、俺は再び眠りについた。 【パラレルミックス 完】

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