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【さいごに】作者語りと説明

 初期構想の世界のBOXを最後に、fujossyでの更新を終了することにしました。今後はムーンライトノベルズ、アルファポリス、webサイトでの更新となります。  そちらでは初期構想の"その先"やまた新たな別の番外編を描いていきます。  ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。そして、どうか引き続きよろしくお願いいたします。  また、普段は世界観に集中して欲しいため、作中に自我を出さないよう努めているのですが、XではBOXに対する考えや思い、裏設定などをどんどんポストしています。  (ポスト内容は非常にカジュアルです)  障害や差別など……センシティブな設定についても語るので鍵アカウントにしていますが、BOX読者の方は遠慮なくぜひ申請してください。大変喜びます。 つな(DD) Xアカウント▶︎@re_turn00 【作者語り】  ここまでBOXをお読みいただき、ありがとうございました。オリジナルBOXとは全く違う道筋を歩んだ彼らですが、これもまた"ひとつの真実"の物語として組み立てさせていただきました。  他のセルフパロディは、本当に完全に"こんな世界に彼らが転生したら、どうなるかな"を作者自身が楽しんで書いているのですが、この初期構想に関しては、シュートと茶太郎の物語を書こう、と決めた時に、最初に脳裏にあったものでした。 ◆結末について  シュートには悲惨で辛くて操られた過去があろうとも、裁かれるべき側面も確かにあり、それは決して許され、正しいとされるべきではありません。むしろオリジナルでは更にマフィアの後ろ盾もあり、立ち位置的には立派な"悪側"です。そのことを茶太郎も分かった上で共にいます。  なので、以下より始まる"その先"で、シュートは過去の罰を受けるかのように大切なものを失いますが、引き換えに愛しくて穏やかな生活を手に入れる……。それが、作者が最初に用意していた彼らの結末でした。  推敲により、最終的に"オリジナルBOX"は登場人物も増え、シュートは明確に"幸せ"になり……しかし、やはり人を殺めた業は若くしての死という形で降りかかりました。  (これについては、賛否両論あるかと思いますが、あくまで作者の考え方です。実際の社会的問題とは切り離し、このBOXでの話として受け止めていただけますと幸いです。)  そして、そんな彼の"ある意味での"片割れとしてデザインし、追加したのがクレイグでした。DUSTで描いている彼のその後も注目していただけますと幸いです。 ◆クレイグについて  彼は茶太郎に対して、複雑な気持ちを抱いています。恋ではありませんが、彼の"愛"を「理解し難い」と考えながら、それを一身に受けるシュートを心の底では羨んでいます。  あんな適当な人間に人生相談をしても何の参考にもなりませんが、彼は茶太郎に会えば、どうにかその関心を得たくて、話題を作り、相談事をします。しかし、その邪魔をするのは、いつもシュートでした。  シュートは今にも殺されそうな茶太郎のピンチにたまたま通りがかっただけの"無意識的"な救済者です。  反対にクレイグはスラムの地面に寝転がっていた茶太郎を安全な場所まで連れて行った、"意識的"な救済者でした。  ほんの少し歯車が狂えば、彼らの運命(茶太郎のパートナーになる/ならない)は入れ替わっていたかもしれない……という、"すれ違った"人物がクレイグです。  そして彼は"普通"を渇望する、捨て犬です。  群れの仲間を大切にし、拾ってくれた人に忠誠を誓う。人が好きで、守りたがりで、しかし犯罪でしか食べる方法を知らず、いつも大事な人たちを"正しく"守れずに失ってきました。  孤児院の兄弟、ストリートキッズの仲間、どこに所属していても全力で皆を守ろうとし……とうとう"あの日"……警察の強制捜査により、その全てを奪われました。  空っぽになり、未来も見えない彼の前に現れたのがボスバイロン。彼は、ボスに従い尽くすことで、生きていくことができます。ボスがそれを良しとしなくても。  その先の物語は、ぜひDUSTでご確認ください。 ◆バイロンについて  彼は彼で、"愛"を持て余していました。  マウロアがシュートへ捧げた愛を首領が受け継ぎ、首領亡き後はバイロンが受け継ぎました。しかし、シュートにはもう、それは必要無かったのです。  茶太郎がいて、茶太郎の足りない部分を補うシドニーと、オーサーとリディアがいて、もう彼らは"ファミリー"として成立していました。  あの強制捜査の日に、シュートがバイロンの手を離れてしまった後、彼は矛先を失った愛をクレイグへ向けました。  それについてはDUSTでも軽く触れています。 ◆オリジナルのシュートの"散歩"について  この物語は90%茶太郎視点なので、茶太郎の知っていること+α程度に世界の出来事を描写しました。  しかし、シュートが普段、バラックを歩き回り、誰とどんなことをして過ごしていたのかはあえて全く描きませんでした。  それはシュートの罪を掘り下げることになり、主軸からストーリーが逸脱してしまう為です。いずれ、スラム〜バラック時代のクレイグの物語は書く予定ですので、そこで"シュートの悪"は垣間見えるかと思います。  茶太郎は、シュートが"いったい何をしでかしていても"その愛は揺るぎません。それが唯一の真実です。だからこそ、彼はシュートが自分の預かり知らぬ場所で何をしていても、それがシュートの自由だと気にしませんでした。  BOXの主人公は茶太郎なので、その茶太郎の関心の外にあるシュートの散歩は、"ただの散歩"以外のナニモノでも無かった。それだけのことです。  さて、そんな散歩でシュートに何が起きていたのかと言いますと……もちろん、主に単なる散歩です。そしてその次にバラックの住人との交流(住人▶︎シュートの一方向が主)、その次にストリートキッズ(や、その他の犯罪者)との争いでした。  ストリートキッズたちの間では噂が噂を呼び、シュートは恐れられ、疎まれていました。縄張りで好き勝手に動けないのはアイツのせいだと、急襲することも少なくありませんでした。  その度にシュートは彼らを返り討ちにし、余計に憎悪の的となり、狙われ、罪を重ねる結果になりました。  決してシュートから誰かに危害を加えることはありませんが、物理的な攻撃に対して抵抗する本能だけは、非常に強すぎたのです。 【初期構想のシュートの過去について】 ◆描写の限定  こちらは100%茶太郎視点なので、茶太郎の知り得ない情報は"その先"においても明かしません。シュートの過去について欠落した情報があるのは、意図的でした。  ただ、あまりにもこのままでは、お読みいただいた方々がスッキリしないのでは、と思うので、ここでざっくりと書かせていただきます。 ◆シュートの過去  基本の流れはオリジナルと同じです。しかし大きく違うのは、マウロアがただの少年で、マフィアの存在が無かったことです。これにより、シュートの過去を語り継ぐ者が発生せず、彼の過去は失われてしまいました。  幼少期のネグレクト、虐待  本能による死への抵抗と逮捕  逃亡、ホームレス、保護  通院と通学、再びの逃亡  たどり着いた先で利用され再逮捕  少年院でマウロアと出会い  脱獄事件により、逃亡中に彼を喪う  そして絶望の中、たどり着いたスラムで倒れていた所を、彼の"代弁者"、リディアが拾い上げた。  オーサーは茶太郎の鏡としてデザインしました。人情があり、面倒見が良く、拾った猫を放っておけない。しかしその行動は常に合理的で、非感情的。共感せず、寄り添わず、不安に突き動かされることがない。  共感"しない"オーサーと、そもそも共感性を"持たない"リディア。彼らとの生活は非干渉的で穏やかではありながらも、愛と温もりは欠落していました。  シュートの過去について、語れることは以上です。  この投稿がお読みいただいている方の疑問の答えになっていれば幸いです。もし、他にも「これはどういう意図なの?」という部分があれば、コメントいただけますと幸いです。 [2025.09.27]

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