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第14話 重たい愛
「これからは魔王様の側近として、魔族が飢えない餌場を確保致しましょう。玩具が壊れれば新しい物を調達いたしましょう。魔族が健やかに生きられるように、総ては魔王様のために。私の総ては魔王様のモノになりました。もう、疑う余地はないでしょう」
シャムルの言う通り、心臓を喰って魔族の核を与えたから、シャムルは魔王に逆らえない。血の結晶を与えれば猶更、魔王から離れられない存在になる。
(愛が重いなぁ。嫌いじゃないけど。リンデル王国の三皇子は、何気にみんな拗らせてるな)
拗らせ方が個性的で、それぞれに可愛いし面白い。
魔王は血の結晶をシャムルの胸に押しあてた。
「そこまで我を愛するなら、永劫、側にいろ。可愛がって、愛し続けてやろう」
押し当てた血の結晶に口付ける。
魔王の魔力が流れ込んで、結晶がシャムルの胸に埋まりハマった。
「あぁ……、魔王様の魔力を全身で感じる。血が黒く染まっていくのを感じます。なんと心地よい……。これで私は、愛する魔王様の本当の所有物になれたのですね。積年の想いがようやく叶いました」
顎を掴み上げ、シャムルの顔を上向かせる。
口付けて、長い舌を喉奥まで突っ込む。刺激になれたのか、シャムルは嗚咽しなくなった。
「魔王様……」
恋するシャムルの目が魔王を見上げる。
「大変に嬉しいのですが、魔王様が私を愛する必要は、ございません」
「へ?」
よくわからなくて、素直に首を傾げる。
「魔王様のような素晴らしきお方が、私程度の愚物を愛するなど、御威光に傷を付けます。どうか私のことはモノとでもお思いください。もしくは今まで通り奴隷として遊び、使い倒してください。魔王様らしく弄んでくだされば私は、全身全霊を持って魔王様を愛します」
これは、あれだな、と魔王は直感した。
魔王が本気でシャムルに惚れた途端に、シャムルの愛が冷めるパターンだなと感じた。
(どうしよっかな。魔王はもう割とシャムル君、好きなんだけど。こういう、器用で頭がいいのに思考と努力の方向性がナナメな子って好みなんだよね)
それにシャムルの顔と雄っぱいは、魔王の好みドストライクだ。
魔王のちんぽが突っ込まれていないと落ち着かないくらい、愛しまくって甘やかしてドロドロに蕩ろかしまくってもいいのだが。
とはいえ、そんな風には言わない方がいいんだろう。
「じゃぁ、今まで通り性奴隷的な感じで、魔王と一緒に寝たりエッチしたりする?」
「はい、魔王様が望まれるままに」
シャムルが嬉しそうに魔王の前に傅いた。
(本当なら、両想いだね的な甘々展開で抱き合ったり、恋人っぽいキスしたりする場面なんだろうなぁ)
今度、そういうプレイをして遊ぼうと、魔王は思った。
「魔王様の側近となりましたからには功績をあげて御覧に入れます。まずはリンデル王国を王室ごと乗っ取り、魔族の餌場、人間牧場と致しましょう。リンデルを皮切りに、国単位の牧場を整備し、魔族の食料の安定を図ります」
シャムルの顔に氷の微笑が浮かんだ。
こういう笑みを浮かべた時のシャムルはきっと、心の底から笑っているんだろう。
笑みの意味は色々あるんだろうが、とりあえず否定はしない方がよさそうだ。
(いいなぁ、目の奥に灯った仄暗い闇とか、可愛い。どうやったら相手を最も苦しめて殺せるかとか考えてるんだろうなぁ)
魔族の核とか関係なく、最初から完全に魔族側の生き物だなと、魔王は思った。
「そうだね。ちょっとずつやってこ。時間はあるから。魔族って長生きだから、人間みたいにせっかちにしなくていいよ」
シャムルが顔を上げて、ニコリと笑んだ。
「それでは魔王様の現時点でのご要望をお聞かせください」
シャムルが魔王ににじり寄り、腰に抱き付く。
股間に顔を埋めて、顔を擦り付けた。
(聞くというか、これはおねだりかな)
色々頑張ってくれたしね、と思いながら、魔王はシャムルの顔を股間に押し付けた。
「いつものように咥えろ。満足出来たら、後ろにハメてやる」
シャムルが顔をほころばせて魔王の半立ちデカちんぽをハムハムした。
「緩い話し方の魔王様も、時々に出される雄々しい魔王様も、どちらも心ときめくほどに素敵でございます。この立派な雄を私の雌穴にぶち込んでくださいませ」
すっかり勃起したデカちんぽを咥え込んで至福の顔をするシャムルの頭を撫でる。
当面退屈しないで済みそうだと思う反面、シャムルの暴走がちょっとだけ心配になる。
(そうなったら、いっぱい抱いて、一緒に寝てあげよ)
氷の微笑に魅入られた魔王様は、その重たい愛を甘んじて受け入れたのでした。
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