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第28話 薄氷の快楽

 魔国にも夜はある。  普段から薄暗い空が、更に深い闇に染まる。  蝋燭など、何本灯そうと夜の闇に追いつけない。  それが常闇にある魔国の夜だ。 「ぁっ……、ぁぁっ、ぅん!」  薄暗い灯がかろうじて見える素顔と、闇に浮かぶ声。  白いシーツすら黒く染まるベッドの上で、布擦れの音が互いの場所を教える。  繋がれば、互いの熱が溶け合って結び合う。  魔王のデカちんぽの形を覚えているシャムルの穴は、素直に根元までを飲み込んだ。 「挿れただけで、イったか。中がキツイな」  シャムルの中が、いつもより魔王を締め付けて離さない。  後ろから何度も突くと、突いた回数だけシャムルが射精した。 「ぁぁ! はぁ……、まおぅ、さま……、ぁ! ぉん! ぁん!」  今宵のシャムルは喘ぎが可愛い。  肩を掴んで、正面を向かせた。 「顔を見せろ、シャムル……」  顎を掴んで引き寄せる。  蕩けた目に照れが滲んで、だらしなく開いた口から唾液が零れる。  思わず、その唇を舐めて覆った。 (やっば、可愛い。今日のシャムルは、いつもより可愛い)  口付けたまま、奥を突く。  魔王の首に腕を回して、シャムルが必死にしがみ付く。  その仕草も全部、可愛い。 「ぁっ、はぁ……、魔王様、守っていただいて、ありがとう、ございます」  シャムルが耳元で喘ぎと共に言葉を吐いた。 「私などと、魂を結んで、よろしかったのでしょうか……、ぁん!」  腰を押さえつけて深い場所を何度も攻める。  奥を突かれるのが好きなシャムルは、それだけで達する。 「我の側にいるのは、不服か?」 「いいえ……、命ある限り、魔王様のお役に立ちたい。私は貴方様を、愛しています。ただ……」  シャムルが薄らと目を開ける。  魔王は腰の動きを緩めた。 「私のような愚物が、魔王様と、魂を結ぶなど、おこがましく……ぁっ、ぁん!」  シャムルの瞼に、唇を落とす。   (シャムルが告った時から、魔王は割と普通に好きなんだけど。また言っちゃダメかな。てか、もう気が付いてるだろうけど)  魔王だって感情がある。  好きでもない相手と命を結んだりはしない。  だから、伝え方を考えた。 「永劫、側にいろ。お前の総てで、我に尽くせ」  シャムルの顔に、歓喜が湧き上がった。  こういう言葉を使うほうが、シャムルが喜ぶと知っている。 「当然でございます。神であろうと魔王であろうと、私が恋いお慕い申し上げるのは、貴方様だけです」  シャムルが魔王に口付けた。  控えめに舌を忍び込ませて、絡め合う。 (神様とか、あんまり気にしないんだ。シャムルにとって、魔王でも神でも、同じなのかな)  世間知らずな大国の皇子にとり、魔王がダークヒーローに見えているのなら、神という響きを嫌うかと思ったが。  そういう訳でもなかったらしい。 「名を呼んでみよ」 「お嫌いでは、ないのですか?」 「シャムルになら、呼ばれてみたい」  ついでに名前のほうにも馴染んでもらおう。  自分でも、好きな名ではないのだが。シャムルに呼ばれてどう感じるか、興味がある。 「ヴェルヴァラント様」 「ヴェルでいい」 「……ヴェル、様……」  様付けは譲れないらしい。  そのほうがシャムルらしいから構わない。 (ふむふむ。思ったより、嫌じゃないかな。ていうか、シャムルは何を言っても、基本的に可愛い)  最近は、前よりシャムルが可愛く見えて仕方ない。  などと本人に話したら冷めそうだから、言わないが。   「私の総てをヴェル様に捧げたいです。もっと私を使ってください」  シャムルの薄い唇が、微笑を灯す。 (あぁ、これだ。この顔に、弱いんだよね。すぐに突っ込みたくなっちゃう)    薄氷の如き微笑は、唇の熱で容易く溶ける。  その熱と快楽に、魔王はもう逆らえない。  この先、気が遠くなるような長い時間を共に生きても、きっとこの快楽は変わらないんだろう。 「お前の総ては初めから我のモノだろう。……シャムル、感じろ」  魔王は、一際大きく腰を突き上げ、奥を抉った。 「ぁあ! そう、です。その通りで、ございま……ぁん! ヴェル様、もっとぉ……ぉん!」  涙目で快楽を乞う微笑が、たまらなくエロい。   「雄々しい魔王様も、素敵でございます。……ぁ、ぁん! すみませ……、ヴェル様」 「魔王でいいよ。魔王も、そっちのほうが慣れてるし、落ち着く」 「緩い魔王様も、大好きでございます」  シャムルの体を抱きあげて、座位になる。  下から大きく突き上げると、シャムルの体が上下して、喘ぎが更にエロく聞こえる。  突きまくったら、シャムルの体から一瞬、力が抜けた。 「ぁ、ぁ……、ぁー……」 「まだ飛ぶな。朝まで、止めないぞ」 「は、ぃ……」  朦朧と返事するシャムルに快楽の刺激を与え続ける。  気を失うと魔力を流して起こし、更に激しく愛撫する。  正気を失いながら必死に魔王の首に腕を回すシャムルが、最高に可愛い。  そんな風にシャムルを抱くのが、たまらなく楽しくて、愛おしい。  真っ黒に塗り潰された魔国の深い夜は、まだまだ明けない。  絶え間ない愛撫とデカちんぽでイキまくるシャムルを愛でていたいから、夜が明けても抱いていようと思う魔王様なのでした。

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