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第1話
ドン引き。
「あ……っ、は、元 くん……はや、はや、く………ッ」
ドン引き過ぎて、作り笑顔も崩れがちだ。あー、でもまぁ、生活のためだしなぁ。
俺は目の前で腕を縛られてヨダレを垂らしているおっさんに、なんとかカタチだけの笑みを浮かべてやる。
え、えーと、こういう時ってSの人ってなんて言うんだっけ。
「あのさぁ、俺に命令できる立場なわけ」
突き出された尻を軽く叩いてやると、おっさんは「ひぃぃっ」と嬉しそうに体をよじらせた。
う、うわーーーー………。怖い、Mの人怖いっ。こんなで、なんでよがれるんだろ。
俺は内心冷や汗をたらしながら、おっさんに「お仕置きね」といってアイマスクをかぶせた。腕はタオルで縛ってあるから、自分では取れないはずだ。っていうか、むしろ取らないだろ、このおっさんは。
「俺がいいって言うまで、我慢しろよ」
「そ、………んな………っ」
三十路もすぎてるんだろうおっさんは顔を赤らめ、眉をしかめたが、股間はしっかりと反応している。俺がソレを握り、そのまま動かさずにいると、やがて焦れたようにおっさんが腰を揺らし始めた。ぐちゅぐちゅと卑猥な音が部屋に響く。うわ、先走りすげぇ。
いよいよおっさんの動きが激しくなってきたところで、俺は唐突に手を離した。
「あ、ああ………っ、はじめく…っ」
今まで俺が付き合ってきた子って、どんなこと言われて喜んでいたっけ? 俺は脳裏を探りながら、自分の服を脱ぎ捨てた。
「我慢しろっつったろ。何度言っても分からない子には、お仕置きしましょうねー」
まぁ、子っつったって、このおっさんは俺より何歳も年上なんだろうけど。
俺は自分のものを扱いて勃ち上げると、手早くゴムをつけておっさんの尻にあてがった。
あー、飲みすぎて勃つかどうか心配だったけど、良かった。
おっさんは今更驚いたように声を上ずらせる。
「や……っ、ま、まだ、慣らしてない……ッ」
ごめんね。
一応ローション垂らしてあげるからね。
「だからお仕置きだって。それに、アンタみたいなのは、痛いほうが興奮するんだ、ッろ!」
語尾に合わせてズッと腰を進めると、先端が柔らかく埋まった。
「ぎ、あ、………っ、はぁ、んっ」
一瞬唇を食いしばったおっさんは、俺がゆるく突くたびに甘い息を漏らし始めた。俺は「ハハッ」と笑いながら、おっさんの耳を引っ張る。
「もっと締めて」
耳元で吐いてやった言葉に、おっさんは嬉しそうに中で俺を締め付けてきた。
ううう………、痛い思いさせてごめんなさいっっっ。
そもそも、なんで俺が数時間前までは存在すら知らなかったおっさんの尻を掘ってるのかというと。
数週間面倒をみてもらった彼氏に別れを告げられた俺は、その夜馴染みのバーで呑んだくれていた。
「あいつ、最後に言った言葉がなんだと思う~? この外見詐欺のクソニート、出て行け、だよ。信じらんね」
カウンターに突っ伏してグシグシ泣いている俺に、店主は困ったように笑った。
四十代前半のこのマスターは、少し枯れた雰囲気だが、笑うと目元に少しシワがよって、それがとても優しい空気をかもしだす。恋人に振られては店で愚痴をこぼす俺に、マスターはいつものように頷いた。
「ああ……、だって元くん、完全にヒモ状態だったもんねぇ」
「違うんだって~。だって、最初からあいつが養ってあげるから付き合ってくれっつったんだぜ。俺は俺なりに努力してさぁ~、会社から帰ってくんのを愛をもって癒したりなんだりだな……」
「元くんはチンコと顔しか取り柄ないからねぇ」
「ひでぇ」
「でも、今回の彼氏くんも、求めていたのは、そんな愛あふれるものではなかったと」
「う」
刺のある優しい言葉に、俺はグラスを握り締めた。
そうなのだ。
俺は振られてばかりいるが、そう外見は悪くない方だと思う。
『元くん、なんでそんなにイケメンなの。実はモデル?』
『その金髪が似合う端正な顔立ちが好き』
『その意地悪な目つきが好き』
『その目でもっと見つめて。束縛して』
『綺麗な唇で罵って』
『ひどいことして』
………つまり。
顔がよかったり、足が長かったり、性格悪そうな鋭い切れ長の目を持ってる俺に寄ってくるのは、何故か俺にいじめられたいタイプの人々であり。
俺が理想通りのSっぷりを発揮しないと、途端に別れを切り出してくる。
『なんていうかさ、思ってたのと違うくて』
『元くんに甘やかされたいわけじゃないんだよねぇ』
『もっと強引にして欲しかったのに』
『『『あーあ、期待はずれ』』』
「なんでだよぅー。俺は普通に恋愛したいだけなのに~~」
つまみのピーナツをガシガシ噛んでいると、頭上から柔らかい声が降り注ぐ。
「大丈夫ですか? 少し飲み過ぎじゃ」
「へ?」
俺が涙目で顔を上げると、マスターの横に若い男が立っていた。二十歳そこそこかな。制服を着ているところをみると、新しいバーテン見習いかなんかだろうか。艶やかな黒髪は真面目そうで、優しい目元が少しマスターに似ている。
「ダレ?」
その頃はすでにかなり酔っていた俺に、マスターが微笑む。
「僕の甥っ子だよ。先週からバイトしているんだ」
「北川といいます。よろしく、元さん」
「ふーん」
俺は北川と名乗った青年をしげしげと眺めた。
「この店で働くってことは、君もゲイなんだ」
遠慮のない俺の言葉に、北川は困ったように笑う。あ、そんなとこもマスターに似てるなぁ。
「はい……、まぁ。叔父がいるので、助かっています」
「いーなぁ。マスターや君みたいな人だったら、俺みたいに外見詐欺って言われることもないんだろうね」
「はい?」
あれ、マスターはともかく、北川くんが一瞬固まったのは気のせいだろうか。
あ、やばい。
もしかして外見をディスったと思われたかな。
俺は慌てて両手を振りながら、違う違う、と訂正した。
「俺の場合、このキツすぎる目つきが悪いんだよね。そう思わね? どうせだったら、北川くんみたいに優しそうなイケメンに生まれたかったよ~。そしたらふられることもなかっただろうに」
俺がグスグスと唇を突き出すと、何故か北川くんが身を乗り出してくる。
な、なに?
「元さん、もしかしてその荷物」
う………。
足元にまとめられた大きなカバンを覗きこまれ、俺は頭を抱えたくなった。
「ひっでーよね。いくらなんでも、荷物と一緒に放り出すことないのに。あいつの方がよっぽどドSだよっ。ていうか俺、今日からどこで寝ればいいんだろ」
トホホと肩を落とす俺に、マスターが肩をすくめた。
「ネカフェがあるじゃない」
「やだ~~~。俺は人肌恋しいの!」
グダグダな俺たちのやり取りを遠巻きに見ていた一人のおっさんが寄ってきたのは、その時だった。
「き、君、もしかして、行くところないの?」
三十代くらいの、くたびれたサラリーマンっぽい男だった。俺は酒のせいでトロンと緩む瞳で、おっさんに頷く。短く刈り込まれた髪、ヨレヨレのスーツに包まれている可も不可もない中年の体。歳のせいなのか寝不足なのか、目の下にはうっすらクマが浮いている。
あーーーーー、今日に限って、タイプのやつが引っかからない………。
俺は別れたばかりの子猫のような元カレの姿を脳裏に浮かべたが、追い出されたものは仕方がない。
とにかく野宿するわけにもいかないし、まともに働いていなかった俺には、酒代はともかくホテルに泊まれるような金はない。
このおっさんからは、金で俺を買おうという魂胆が見え見えなんだけど、こっちも背に腹は代えられないしなー。しょーがない。
俺は首をかしげて、グラスの氷をからん、と揺らしてみせた。
「なに? 泊めてくれたら、特別サービスでアンアン言わせてやるけど」
先制攻撃。まぁ、まったく好みではないが、まぁとりあえず転がり込めるなら、おっさんでも抱いてやってもいい。
俺のうすら笑いに、おっさんは顔を赤くさせて鼻息を荒くさせた。
「その鋭い目つき……っ、さ、最高だ……っ」
「……………え」
俺はにじり寄ってきたおっさんに、思わず体を仰け反らせてしまう。
あ、なんか嫌な予感。
「もちろん、君がよければ、僕のところへおいで。………た、ただし、それなりの『お願い』も聞いてもらうよ。………ふ、ふひっ」
「………………………………」
で。
要は、このくたびれたおっさんは、予想通りMというやつで。これまた予想通り俺のSっぽい見た目に参ってしまったと。そして、部屋に上がったとたんに「手を縛ってくれ」だの「豚と罵ってくれ」だの、変態ちっくな要求をバンバンよこしてくる。
今まで知らない男の家に転がり込んで「いじめて」とか「乱暴に犯して」とか言われたことはあるが ――― っていうか、そんなのばっかしだが ――― 、このおっさんはやたら注文が具体的で怖い。もしかしなくても、俺が今まで付き合ってきた男たちは本当のMではなかったのかも知れない。
「元くんのその冷淡な顔で罵倒されたいんだよぉ」
足元にすがりついて泣かれるのはそう悪い気もしなかったが、本格的なSMの経験なんぞない俺は、とりあえず腕をしばってアイマスク、くらいしか実行できなかった。
宿を貸してもらうからには、それなりに奉仕しなければ、また追い出される可能性がある。
と、とりあえず今日のところは、宿が優先だ。
俺は目隠しをしてヒィヒィ泣いているおっさんに、ガツガツ腰を打ち付けて無理やり射精する。さすがにイクときは目を閉じて、元恋人の可愛い顔を思い浮かべなければ出来なかったけど。
うう………、と、とりあえず、おっさんの要求は満たした………よな? できるだけ乱暴に抱いたつもりだし。
俺は萎えたものをおっさんの中から引き抜くと、ゴムを外すために指をかけた。
途端。
ベッドの上でくたばっていたおっさんが、慌てたように飛び起きた。
「あ、あれッ!? 生でしてくれって言ったのに、もしかしてゴムつけちゃったの?」
うわ。
「え、い、いやー………流石にそれは……」
俺はキョロキョロと探すおっさんのアイマスクを外してやる。
い、……いいよな?
一応、プレイは終わったんだし。
「縛ってごめんね」
おっさんも、拘束されたままじゃ辛いだろうし。タオルで軽くだから、痕は残らないと思うけど。
とりあえずシャワーして、ベッドでもソファでもいいから寝かせてもらえば………。
そんなことを考えながらおっさんを自由にしてやった俺に、M男はとんでもないことを口にした。
「なんで外すの?」
え。
おっさんは、ニヤニヤ笑いながら俺に擦り寄ってくる。
「まだ使ってない道具いっぱいあるんだよぉ。ああ、それとも、わざとの放置プレイかな?」
「ひぃっ」
俺は思わずベッドから飛び降りると、床の上に散らばった衣類をかき集めた。
な、なに、放置プレイって。
この人、なに言ってるのか分からないけど、なんかメチャクチャ怖いっ。
ヤバそうな雰囲気を感じながら、俺は慌てて服を着込む。
「今度は手錠試してみようか。このムチとバイブもね………」
「ご、ごめんなさいーーーっ。俺、やっぱりSなんて無理ですうぅぅぅぅっ」
ベッドの下から箱を取り出して何やら開け始めたおっさんを尻目に、俺は靴とカバンを抱えて裸足で外に飛び出した。
「うっ……うっ、………怖かった」
三月とは言え、まだまだ夜は冷え込む。俺は道路の上で靴を履くと、でかいカバンに顔をうずめながらトボトボと駅前を歩いていた。
おっさんが追いかけてこなくて助かったけど、午前様のこの時間で、またあの店に戻ったとしても無駄だろうなぁ。看板が消えてる可能性の方が大きい。
「俺が何したって言うんだよー……」
ハァと息を吐くと、白い。
これからどうしよう。おっさんに泊めてもらうつもりでいたから、何も考えてなかった。やっぱり、次の宿が見つかるまで、ネカフェかカプセルホテルしかないかなぁ。ファミレスだと、寝たら追い出されるだろうし。
「つーか、寒い」
俺はとりあえず駅前のコンビニに向かうことにした。今の時期は、おでんとか中華まんとかあっていいよね。寒い中、恋人同士で肉まん分け合ったりしてさ。
「う………」
なんか、幸せな想像したら涙が出そうになってきた。
なんでだろう。
俺は、普通に恋人に優しくして、甘い関係になりたいだけなのにな。
どうしてもこの見た目のせいで、変な方向に行ってしまう。
縛るとか、罵るとか、意地悪とか、そんなことしなくたって、愛があればいいじゃない。
………とかいうと、すぐに『ヘタレ』だの、『根性なし』だの『外見詐欺』だの言われるけどさ。
うーん、いじめられるのって、そんなにいいものか???
「あれ? 元さん」
つらつら考えながらコンビニの自動ドアをくぐった俺に、驚いたような声がかかった。
寒さのせいで鼻を赤くしながら、「ん?」と顔を上げると、そこには柔和な顔の青年が目を丸くして立っている。
「………………北川くん?」
あれ。
あれれ、そうだ。
確かこの子は、数時間前バーで会ったばかりの、マスターの甥っ子さんだ。バーの制服を脱いで、パーカーにTシャツといった私服のところを見ると、どうやら店は閉店したらしい。
ポカン、と彼の名を呼ぶ俺に、北川くんは優しそうな顔で首をかしげてきた。
「何やってるんですか、こんなとこで。っていうか、その荷物どうしたの。里西さんは?」
「さとにし………?」
「元さんをお持ち帰りした、あの中年のおっさ………」
「しーーーっっしーーーーっ」
き、北川くんは天然なのだろうか。店内に店員も他の客もいるのに、声量を落とさずにしゃべり続けようとした彼を、俺は思わず外に引きずり出していた。
ううう、せっかく店内で暖まろうと思ったのに。
びゅう、と吹いてくる風が冷たい。
俺は寒さに首をすくめ、
「逃げてきた」
と白状した。北川くんは困ったように眉を寄せる。
「どうかしたんですか」
「どーもこーもないよ。いつもと同じ。過剰にSっ気を求められて、一応俺も努力して演技したつもりだけど、あのおっさん留まるところを知らなくて怖いんだもん」
ぶぅ、と頬をふくらませる俺に、北川くんは「怖い?」と苦笑した。
君はいいよね、人ごとだと思ってさ。
「あんなおっさんが怖いって、アンタいくつですか」
も、もしかして馬鹿にされてるのか、これ。
「二十一だけど。………でもさ、だってさ、俺にはやっぱり理解できないね、あんなの」
「そう?」
と北川くんは尚もおかしそうに笑う。あ、やっぱりこれ、馬鹿にされてるな。どーせこの子も、「外見の割にはヘタレなやつだ」と思ってんだろうな。まぁ、マスターから今までの俺の失恋話とか色々聴いてるかもしんないし。今更取り繕ったって無駄だけど。
俺は肩をすくめて、
「ま、そういうわけで、俺はコンビニで暖まってからネカフェに行くから。北川くんも、未成年があんまり遅くまでフラフラしてんなよ。じゃね」
バーでバイトしているんだから、未成年なわけはないと思ったが、なんだか悔しくて俺はそう手を振った。
あー、もう、寒い。
しょうがないから、中華まん片っ端から買い込んで、ネカフェで一人寂しく食べて寝よーっと。
ため息をついて再度自動ドアに向かった瞬間。
「わっ」
後ろから、ガツンッと肩を掴まれた。
あんまり勢いが良かったので、肩からカバンの紐がずり落ちる。俺はバランスを崩して、思わずよろけた。
振り返ると、何故か満面の笑みの北川くん。
「へ……? あの、ちょ……痛いんだけど」
怪訝な声を出す俺に、彼はニコニコ微笑みながら言う。
「俺、未成年じゃないじゃないですよ。こう見えても二十歳なんで、元さんと一つしか違わないです」
「え、あ、そう……」
そのまま、妙な沈黙が降りた。
え、えーと。なんだ、この手。
「北川くん? 悪いんだけど、この手離してくんないかな。コンビニの入口に突っ立ってると邪魔になるし」
ああ、もう、ほら。レジのほうから、不審そうな目で店員が見てるじゃないか。ただでさえ俺、大きいカバン持ってるんだからさー…。
北川くんは何故か笑みを張り付かせたまま、
「行くとこないんだったら、家に来ますか?」
とのたまった。
「え」
再び固まった俺に、北川くんはとろけるように優しい声で囁いた。
「俺、一人暮らしなんで。行くとこ、ないんでしょ」
い……いやいやいや。
「いやいやいや!」
「元さん?」
「なんでついて来ちゃってんの、俺」
高そうな革張りのソファに顔をうずめる俺に、北川くんはコンビニの袋を片手に微笑んだ。
「まぁ、外は寒いですしね」
それだ。
多分、それだ。
体冷えてるし。
お腹空いたし。
眠いし。
ソファにかじりついてブツブツ言っている俺に、北川くんは「シャワー使いますか」と抱きついてきた。
う、わ。
もしかして。やっぱり、もしかしなくても………、だよね、これ。
俺はひと呼吸おいて、また「いやいや」と首を振った。北川くんの手をベリッと引き剥がすと、俺は振り返る。
「あのさ」
「はい?」
北川くんは、何がおかしいのか笑みを浮かべながら今度はパーカーを脱ぎ出す。
いやいやいや、まさかとは思うけど。
「あの、散々言ったんだから分かってると思うけど、俺、そんな気ないからね」
「そんな気って?」
なんでこの子、俺とソファを挟むみたいに両手をついてくるんだろう。大人しそうな顔に似合わず、積極的なのかな。
「一晩寝かせてくれるのはありがたいんだけど、今日はちょっとSっぽく振る舞うの、もう本当無理。おっさんのとこで体力も精神力も使い果たしてきたし」
俺が目を泳がせまくりながら早口で言うと、北川くんは優しい顔のまま「へーーーーえ」と長い返事をかえしてきた。
つーか、顔が近い。近い。
俺の好みのカワイ子ちゃん系じゃないけど、北川くんのような優男系も、たぶん抱ける。あのおっさんでさえ抱けたし。
抱けるけどー……。
「ごめん、ほんとごめん。今日ってか、もう昨日か、フラレたりおっさんに懇願されたり、結構疲れてっから。それでも、いい? 泊めてくれる?」
俺が両手を挙げて精一杯の笑顔で問うと、意外にも北川くんは「いいですよ、別に」と答えてくれた。
はー、良かった。
この子は、店で俺が散々愚痴ったの聞いてるだろうから、そこまで攻めて欲しいオーラは出してこないよね。っていうか、俺が本当はSじゃないの、分かってるよね……?
俺はホッとして手を下ろす。
「安心したよ~。やっぱり君は優しいんだねぇ。正直、今日はもう勃つかどうかも怪しかったし……」
「俺は抱いて欲しいなんて一言も言ってないから」
「………………………はい?」
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