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第75話*
「あんっ・・・も、奥やだぁ・・・っ」
「やなの?じゃあ浅いとこ、いっぱいシてあげる」
「んやっ・・・あぅ・・・っ・・・んぁあっ!」
もうすぐ日付が変わる。
明日も平日だから、いつもなら寝かせてもらえるんだけど、今日はそのつもりないらしい。
「んぅゔ・・・っ」
「璃都 、お誕生日おめでとう」
「ひぁっ」
後ろから奥突きながら祝うな!
日付が変わって、10月10日。
俺の誕生日だ。
あと結婚記念日。
これから24時間、俺はカイと離れる事を禁止されてる。
「へん・・・た・・・ひぅっ!」
「19歳になっても璃都は可愛いね」
くそ・・・馬鹿にしやがって・・・。
いつかキャインと言わせてやる・・・!
「あ"っ・・・んゔ・・・っ、い・・・ってぅ・・・やら・・・ぁ・・・っ」
「ナカ痙攣して・・・っ・・・」
「い"ぁ───っ!」
頸 にがぶりと噛み付かれながら、奥に熱を叩き付けられてまたイく。
俺、男だけど、いつか本当に孕むんじゃないだろうか・・・。
「璃都・・・可愛い・・・美味しい・・・」
「ぅう・・・食うなぁ・・・減るぅ・・・」
カイは射精の間、俺の頸を噛んだり舐めたり吸ったりしてる。
首がふやけるからやめろ・・・。
「明日・・・じゃなくて今日って学こ・・・」
「行かせる訳ないでしょ。俺も休み取ったし、週末だし、金曜 はずっとベッドで過ごして、土曜 璃都が歩けそうなら出かけよう?」
「そーですか・・・」
1日中ベッドコースか、明日立って歩く自信ないんだが。
歩けそうならって・・・歩ける程度に手加減してもらえませんかね?
あと、全身噛みまくるのもやめてくれ。
「俺の誕生日だぞぉ、手加減しろぉ」
「最近は手加減できるようになってきたよ」
「どこが?」
「璃都が気絶しなくなった」
「それは俺に耐性ができたからだっ」
そもそも気絶するまで犯すなっ!
獣人の相手をしてる人間をもっと労 われ!
「俺の璃都は俺に毎晩抱かれて、獣人との番セックスに耐性ができたんだね」
「文字に起こすな嬉しそうにするなっ!」
うう・・・獣人の変態性を下げる薬、開発しなきゃ・・・。
───────
「これがいいの?」
「うんっ!」
10日 は本当に1日中ベッドの上で過ごし散々な目にあったが、夜は寝かせてもらえたのでなんとか回復した。
まあ、今朝は身支度から家を出て車に乗るまで全て旦那に介助してもらったけど。
「目標は3房 !」
「ほんと?今夜の璃都は巨峰味かな」
巨峰狩りに来て、俺が吟味して選んだ1房目をカイが採ってくれてる。
俺のナニが巨峰味になると言ってるのかはスルーして、ぱくぱくと食べていく。
甘い・・・味濃い・・・うまぁ・・・!
「カイも食べて。あーん」
「あー・・・ん。うん、美味しいね。・・・でも、冷えてる方がもっと美味しいかな」
「それ言っちゃう?」
結局、カイと合わせて4房食べた。
カイが2.5房、俺が1.5房くらい。
もっと食えると思ったんだけどな・・・。
「ロープウェイ?」
「うん。紅葉が綺麗だよ」
巨峰狩りの次は車で移動してロープウェイ乗り場にやって来た。
俺、ロープウェイも初めてだ。
「え?ロープウェイも乗る時止まんないの?」
観覧車で転びそうになったのを思い出す。
「ふふ、抱っこしてあげる」
カイに抱き上げられた状態で乗り込んだ。
他にも人が並んでたから恥ずかしかったけど、まあ仕方ない。
「あれ、他の人は乗ってこないの?」
「係の人が気を利かせてくれたみたいだね」
もしくは、後続の方々がハイイロオオカミ獣人とその番に遠慮してくださったか・・・。
2人で乗るには広いけど、気兼ねしなくていいのはありがたいかな。
進行方向側のイスにカイと並んで座り外を眺めると、木々の上を思ったより速めのスピードで進んでいく。
「おお・・・下、なんかいるかな」
「熊が出る事があるらしいよ」
「熊!?」
それ、遭遇したらカイ、勝てる?
いや、まさかね、さすがに無理だよね。
怪我とかしたら大変だし。
進むにつれ景色がどんどん色付いて、紅葉ってこんな風に楽しむ方法もあるんだなって思った。
ロープウェイを降りると、そこはスキー場。
今はシーズンオフだけど、紅葉を見に来た人たちがたくさんいて、景色見たり写真撮ったりしてる。
俺たちはカフェで軽食を食べ、景色を楽しんでからまたロープウェイに乗り、車に戻って次の目的地へ。
「茅葺 きだ!」
到着したのは温泉旅館。
茅葺きの、こぢんまりとした離れに案内された。
「ねえ、カイ」
「うん、露天風呂付きだよ」
「やった!」
玄関入って右側に、床の間と縁側がある和室、隣の寝室には大きな和室用ベッドが2つ並んでる。
左側にはトイレと洗面所、檜 の内風呂と・・・。
「うわっ!すっごい!」
紅葉に包まれた露天風呂。
湯船が赤や黄色に染まってる。
「絵みたい」
「・・・璃都の入浴シーンを絵にするのもいいな」
「やめろ」
俺たちは、夕食の前に早速露天風呂に入る事にした。
うん、やっぱ露天風呂、とてもいい。
「ふぁー・・・きもちー・・・」
「俺のネコちゃんはお風呂好きだよね」
俺は人間だから風呂好きなんだって。
カイと並んで浸かってたけど、習慣なのか寄りかかりたくなってきて、カイの前に移動した。
そのまま、オオカミを背もたれにして脱力する。
「んふー・・・らくー・・・」
「ああもう、可愛い・・・」
「こら、変なこと触んな」
この変態オオカミと結婚して1年かぁ。
・・・怒涛の1年だったな。
でも、人生で1番楽しくて1番幸せな1年だった。
これからもカイと・・・。
「ずっと一緒に・・・いよ・・・」
思わず声に出た。
俺が子どもの頃から欲しかった、家族。
番を生涯大切にする、獣人の伴侶。
「うん。ずっと一緒だよ。死んでも」
たまに恐い事言うけど、それだけ俺の事を好きでいてくれてるってわかる。
恐いのも慣れちゃったし。
「あはっ、偕老同穴 だっけ?墓は景色のいいとこに建てて」
「どこがいいかな・・・」
「まだ早いって」
真面目に墓建てる場所検討しないでよ。
カイの方へ向き直り、彼の肩に腕をかける。
濡れたアッシュグレーの髪、頭の上には三角で肉厚のオオカ耳、金色の瞳には、景色や光が映り込み、奥行きのある万華鏡みたいに煌めいて・・・。
「俺のカイザル」
金眼が揺れる。
俺の大好きなオオカ耳が、ビビっと震えた。
「愛してる・・・俺の璃都」
唇が合わさって、少しして、離れていく。
こんな優しいキスもできたのか。
初めての時も、これなら良かったのに。
「・・・ここ、食事も美味しいって有名なんだ」
「・・・うん?」
「夕飯は諦め・・・」
「食べるっ!」
夕食パスしてナニしようとしてんの?
有名なら尚の事食べなきゃだめだろ。
「逆上 せるから出よ」
「・・・仕方ないな」
残念そうにオオカ耳を伏せて、俺を抱き上げ露天風呂を出るカイ。
身体を拭いて浴衣に着替え和室に向かう間も、ずっとすりすりしてきて甘えんぼオオカミだ。
いつもはひたすら完璧で格好いいスパダリオオカミの癖に。
「俺のオオカミは可愛いね」
「俺の赤ずきんの方が可愛いよ」
これからまた1年、その次の年も、ずっと先まで。
2人で一緒に、幸せになろう。
End
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