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初めての
正月が明けバレンタインデーの忙しさが終わり、次はホワイトデーの波がやってくるけれど、その間のほんの少し息をつけるときに家に帰ると電気が付いていなかった。
出かけるときには必要ないと言っても一言言ってから出かけている千景が今日は特になにも言っていなかった。急になにかあったのだろうか。それとも部屋で寝てしまっているのか。
リビングダイニングの電気をつけ、千景の部屋のドアの前に立つと甘い花の匂いがした。ヒートを起こしたのか?
そう言えば、正月に実家に帰ったときに番になれと母さんに言われたなと思いドアをノックする。当然返事はない。鍵はかかっているだろうかと試しにドアノブを回すとドアは開いた。
ドアが開くと匂いはさらに濃くなり、人の荒い息遣いが聞こえた。千景だろう。
「電気つけるぞ」
「……つけ、ないで」
返事をするのもやっとなのだろう、その返事を無視して俺は電気をつける。ベッドの上で自分を慰めている姿が見える。普段の千景からは想像できないセクシャルな格好だった。
その格好と匂いとで俺はラットを起こしかけた。
やばい。このままだと千景を抱いてしまう。そう思って部屋を出ようと頭では思うけれど、理性を保つことは無理なようで千景に手を伸ばしてしまう。すると千景は匂い同様甘い声をあげる。その声に俺の中のわずかな理性さえも溶けてしまう。
抱け。
目の前のオメガを抱け。
俺の中で千景を抱けという声が聞こえる。俺はその声に従うように、千景の体にキスの雨を降らしていく。その肌まで甘く感じてクラクラしてしまう。
唇にキスを落としてから、唇をどんどん下へと辿っていく。そしてキスが胸の頂に到達すると千景はさらに甘い声をあげる。
「や……ん」
千景の体も声も甘くて、そして俺に媚びているような甘い声が俺を誘う。
「はぁ……ん、やぁ」
乳首を執拗に舐め、カリっと甘噛みするとさらに甘い声をあげる。
「んぁ。噛んじゃ……ダ、メ」
「そんなこと言っても体は喜んでるぞ」
「あぁ……感じ、ちゃ、あぁ、うからぁ」
息も絶え絶えに言う千景は体をくねらせて、余計に俺を誘ってくる。
唇をさらに下へと滑らせ、腹へと行ったところで後ろに手をやる。そこはヒート時だからだろう既に蜜が溢れていた。
唇で千景のモノにキスを落とす。すると千景の声はさらに大きくなる。
「いやぁ。そこはダメーー」
その声を発した後に白い液体を出し、千景の腹を汚す。千景はダメと言ったがラットを起こしたアルファを止めることはできない。
片足を俺の肩へとかけ、足にもキスを落としていく。
「あぁん……は、ぁ」
千景の顔に目をやると、頬を赤く染め、快楽に溶けきった顔をしている。今までオメガを抱いたことはないけれど、こんなに乱れるものなんだな、と頭のどこかで思う。
足へのキスを終え、千景の体をうつ伏せにさせて右手で蜜坪に指をつぷりと入れると千景はまた甘い声を漏らす。
「んぅ……は、ぁン」
男の体は濡れるようにはできていない。だけど、オメガは普通に濡れる。
指を1本から2本、3本と増やしても今の千景には快感を与えているだけにすぎないようだ。
「もっとぉ……もっと、ちょうだい」
甘い声で強請られ、俺は自身をその蜜坪へと入れた。すると千景はさらに甘い声をあげ、匂いもさらに濃くなった。
「あぁ、きもち……い、ぃ。もっとぉ」
その声に促されるように俺は腰を動かしはじめた。
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