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君のことを考える5

 今日は土曜日だけど陸さんがクラス会ということで食事がいらない日。自分の分だけを作るのは久しぶりだ。最近は陸さんの分と2人分を作っているので忘れていたけど、1人分だけ作るのは寂しいし、ちょっと面倒くさい。夕食どうしようかなと考え、今日はスーパーのお弁当で済ませることにした。  美味しいお弁当は早々に売り切れてしまうだろうか? 買ったことがないのでわからないけれど、コスパが良くて美味しそうなものは売り切れるのが早そうで、夕食にはまだ少し早いかと思ったけど、買いに行くことにした。  お財布を取りに部屋に戻ったところでスマホが鳴る。鳴り続けることから着信だとわかる。誰からだろう。お母さんかな? そう思ってスマホを見ると西賀からだった。 「もしもし?」 「久しぶり。あのさ、近くまで来たんだけど出れない?」 「大丈夫だよ。今、お弁当買いに行こうとしてたとこだし」 「弁当? 珍しいじゃん。じゃあさ、ファミレスでも行こうぜ。俺、お腹空いちゃって」 「いいよ。じゃあ先に行って待ってて。僕もすぐ行くから」 「了解。じゃあな」  お財布を持って上着を着て家を出る。そういえば陸さんは何時頃帰ってくるだろうか。クラス会だから帰りは遅くなるかもしれない。僕だってクラス会のときは遅くなった、と思う。言い切れないのは途中で寝てしまったから。でも、陸さんが既に帰宅済みだったことを考えれば遅かったはずだ。  それに久しぶりに会う人ばかりで話だって弾むだろう。二次会だってあるかもしれない。そう思うと陸さんに連絡しなくてもいいかなとは思ったけど、万が一僕の方が遅いかもしれないことを考えて陸さんに、西賀と会ってくるとメッセージを入れた。  もし僕の方が遅かったら電気がついていなくて家が真っ暗だ。だから念のために連絡を入れておく。 『会社の元同僚と食事に行ってきます。遅くならずに帰ります』  メッセージを送って、急いでファミレスまで行く。西賀を待たせてしまう。急ぎ足でファミレスまで行き、店内を見渡すとスマホを見ている西賀の姿があった。 「西賀!」 「お、来たな」 「待たせてごめんね」 「そんなに待ってないよ。それより何食べる?」  西賀はスマホを置いてメニューを開いた。何食べようかな? 写真を見るとどれも美味しそうで悩むけれど、散々悩んで牡蠣フライとエビフライのついたミニチーズインハンバーグにした。ビーフシチューソースが美味しそうだ。  ハンバーグは家でも作るけど、チーズインにはしないし、ビーフシチューソースは手間がかかるからしない。こういうのは外食のときに食べるに限る。飲み物はドリンクバー。  注文を済ませ、ドリンクを持ってきたところで西賀が口を開いた。 「急にごめんな。陸さんは大丈夫?」 「うん。今日はクラス会に出かけてる。だから夜ご飯はお弁当にしようと思ってたんだ」 「そっか。タイミング良かったな。で、どうよ、陸さんとは」 「少し前から週末のお昼と夜は食事食べて貰えてるんだ」  僕が笑顔でそう言うと西賀は一瞬目を見開いたけれどすぐに破顔した。 「良かったじゃん」 「うん。それにね、熱海にも連れて行ってくれたんだ」 「熱海?」 「うん。食事を作ってるお礼って言ってクリスマスの後に連れて行ってくれた」 「すごいじゃん! お礼って言っても熱海まで連れて行ってくれるのはすごいよ」 「うん。日帰りだけど温泉入ってきた」  僕はそう報告してそのときのことを思い出す。まさか熱海に連れて行ってくれるとは思わなかったし、予約してくれていたランチは新鮮でとても美味しかった。それに帰りに買ってくれたプリンも美味しかった。 「お互い干渉なしっていうところから始まったのに、わざわざ遠くまで連れて行ってくれるってすごくない?」 「うん、それにね、週末に買い物に行くって言ったら車出してくれた」 「そっか。良かったな。どうなるかと思ったけど、うまく行ってるみたいじゃん。それ聞いて安心したよ」  そう言って西賀は笑ってくれる。きっと心配してくれていたんだろう。新婚旅行から帰って来たときはほんとにただ同じ家に住んでるだけだったから、こんな報告ができて良かったと思う。

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