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第11話 散々な

11話 散々な ガルゴは仕事へ向かいながら考えをまとめていた。リョウのことが頭から離れない。職場に着くとすぐに母親からの葉書をシュレッダーにかけた。縁談?お見合い?結婚?それらについては何も考えられなかった。  さっきの出来事を思い出す。リョウに触れた時の温かさ、肌の感触、吐息を反芻し頭を抱える。本当は仕事などに戻りたくなかった。しかし、あそこに一晩居てはどうにかなりそうで抜け出してきた。  あれはダメだ。こっちが欲望のまま好き勝手しても受け入れてくれるという安心感をくれる。さっきのリョウはいつもと違いガルゴが喜びそうなことばかりして、満足そうに笑っていた。  このままではリョウから離れられないような気がして思わず家を出てきた。しかし、シュレッダーにかけた葉書を見てため息をつく。もはや、答えは決まっているようなものだった。  決心しなければとガルゴは頭を抱える。なあなあにするのではなく、中学の頃の失態を再びしないようにしなくてはならない。  その日、ガルゴは仕事を終わらせるとさっさと自宅へ帰り。リョウにメッセージを送る。 「明日会えるか?」  もちろんすぐには返事はない。いつものことだ。しかし、何も不安はなかった。リョウの温かさを思い出しながら眠る。  中学の頃とは違い、彼を受け入れられた。そして、彼に受け入れられたことを噛み締めながら。今度こそ手放さない。首を絞めてでも手に入れると。  ガルゴは夢を見た。それはいつもと同じようでいて違っていた。リョウと一緒に起き、ご飯を食べ、遊んだり、意味もなくダラダラしたり。夜になれば彼の上に乗り、首輪を引っ張って彼の出す声に耳を傾ける。傷はガルゴだけがつけ血を流させる、どこにも行かせない。  夢の中のリョウは笑っていた。中学の頃見せたていた一緒に遊んでいた時とおんなじ笑顔を。  ――  リョウはカラオケにて初めて会った男に押し倒されていた。仄暗い小さなカラオケで雑音になった誰かの歌の伴奏が流れながら、床にリョウは倒され、ユズキはソファに足を乗せ丸くなっている。  男は自分勝手に喋りリョウの体をまさぐった。 「以前バーで見かけて気になってたんですよ。でも中々会えなかったり、他のやつと話してて……。」 「モヤモヤしてたらコイツが話しかけてきたから。ああ……名前なんだっけ?まあいいや。とりあえずコイツがリョウさん。貴方と知り合いってことは分かってたんでちょうどいいやって。」 「貴方ですよ、貴方。リョウさん。待ってました。俺とセックスしてくれません?」  清々しい顔でそんな事を言う男を冷めた目で見ながらため息をつく。 「まぁ、別にいいけど?」  めんどくさそうな相手はさっさと終わらすのがいいと服を脱ぎ始めるが男はそれを止める。 「ちょっと、こんなところでやりませんよ。ホテルとかじゃないと。」  嫌々ながら服を戻し彼を見る。それならなぜ服に手を入れたのかや、押し倒されたのかなど聞きたいことはあったが聞いても無駄な気がして眉を下げただけにした。 「どこの?てか、ここでやらないなら上からどけよ。」 「……はい。」  男はリョウの顔をじっと見てから上からどく。変なやつに捕まったなと憐れみと嘲る気持ちを持った目を隅で震えてるユズキに向ける。  リョウはそのまま男とホテルに行くと思いきや。男はユズキの髪を引っ張り一緒についてこさせた。 「なんだ?三人でやるのか?」 「は?そんな訳ないでしょ?こんな性病持ってそうな金髪野郎とやりたくない。」  ユズキはポロポロ泣きながら大人しくついてきてた。腫れた顔がよりぐちゃぐちゃになっていった。  カラオケを出て男が車に二人を乗せる。  車は少し高そうなホテルの前に止まる。外装は白を基調としているそのホテルは少し派手めに下からライトアップされている。いつも行くような雑居ビルと並んで建っているラブホテルより値段が高めで、リョウは男の方を見て馬鹿にするような顔をするがすぐに戻す。  そこから大変だった。ユズキはホテルに入ることを嫌がり抵抗した。リョウは車の外で待っていたがユズキの叫び声と男が殴ったり怒鳴る音が漏れ周りに余り人がいないことに感謝した。  電灯が少なく車もまばらにある程度である程度の広さのある駐車場では、彼らの声は闇に消えていくばかりで誰も来てくれやしない。  ふと車から聞こえる音が小さくなるとユズキは引っ張り出されパーカーのフードを深く被せられていた。男はユズキを隠しながらホテルに入っていく。リョウもその後を追いながら周りを見渡す。中もある程度綺麗な見た目をしておりこういう所に来たのは久しぶりだなと感じた。  前回来たのは小金持ちのボンボンに買われた時だなとどうでもいいことを考えていたらいつの間にか部屋に到着し、三人でその中に入る。部屋は外と同じく白を基調としているがどこか怪しげな照明の明るさで気分を変な方へ持っていかれそうになる。 「俺が先にシャワー浴びるから。逃げるなよ。」  男は部屋に入って早々にそんな事を言って二人を放置して浴室の方へ。 「大丈夫か?」  リョウはユズキの前にしゃがみ込み顔を覗き込んだ。ユズキは床に座り込み体を震わせていた。以前自慢していた金髪はグシャグシャにされ、西洋風の彫りのある顔立ちに浮かぶヘラヘラとした笑顔は無くなっていた。 「……。」  口を開けても震えで歯をガチガチと鳴らすだけで、すぐに俯き目を強く瞑る。 「さっさと彼氏の所へ帰れば良かったのに。」  リョウが冷たく言い放つと、大粒の涙を流しながら自身の腕を強く掴み嗚咽を漏らす。 「っ、ゆ、ユウジともう……一ヶ月会ってない。」  より顔を涙でくしゃくしゃにしながら話す。 「あの人……俺のこと探してくれてるのかな?捨てられてないよね?」 「さぁ?連絡は?」 「分かんない。最初のうちは来てたけど、あの男に出会って没収されたから……。」 「あいつとはどこで?」 「いつも行ってるバーだよ。リョウちゃんも行ってるところ。優しそうだったから話しかけたのに……。」 「相手にされなかったのか?」 「……うん。リョウちゃんと知り合いなんだろ?って言われてめっちゃ殴られた。」  殴られた所が痛むのか時々顔をさすったり、お腹を守るように丸くなったりした。 「ね、一緒に逃げよ?」  ユズキはリョウの腕を掴み、顔を上げすがるような目をする。 「……俺がヤれば開放されるんだろ?どうせあいつ俺らみたいな体売ったり、夜の仕事してるやつのこと散々見下して気持ちよくなりたいだけだ。一回ヤれば満足するよ。」 「……痛いことされるよ?」 「なおさら大歓迎だ。」  リョウはニヤッと笑って立ち上がり浴室の方へ行く。 「……もう少しで出てきそうだな。ユズキ……見たくないなら布団でも被っておけよ。」  戻ってきて適当にベッドの上にある布団を掴み投げつける。 「うん……。」  もぞもぞとユズキは布団の中に包まれ間からチラリと覗く。  その時ちょうどよくあの男が浴室から出てくる。 「何してんだ?」  ユズキの方を見下しながら言う。男はバスローブ姿で笑顔を絶やさず二人の方へ歩み寄る。 「リョウさん。貴方も入ってきてくださいよ。」 「はいはい。」  ユズキが一度こちらに目を向けるが無視してリョウは浴室へ行く。体を洗ってあそこを解す。外からユズキの悲鳴は聞こえないため暴力はされてないだろうと考えながら綺麗にする。  浴室から出ると男は口角を上げながら近づいてくる。 「長かったね?女役ってそうなの?ただの女とおんなじ?」 「何お前、男とヤッたことないのか?」 「無い。あるわけないじゃん。異性愛者だし。」 「ならどうして。」 「なんとなく?女みたいな奴ならイケるかなって。黒髪の子が好みなんだよね。」  リョウの髪を指先で撫でながらニコニコしながら話す。 「でも、さっき触った感じ結構硬いね。骨格も男って感じだし。」 「ならやめる?」 「するよ?」  男はリョウをベッドに引き連れ押し倒す。先ほどよりもしつこく体をまさぐり、時には優しく愛撫する。 「どこが感じやすい?乳首とか触っても感じる?」 「大抵は開発済み……。」 「へぇ……変態さんなんだ?」  顔をしかめ思わず横を向くとユズキが布団の間から見ている。 「こっち向いて……。」  男は頬を掴み自身の方へ顔を向けさせる。男の目には光はなく真っ黒でリョウのことを反射していた。  リョウはバスローブの前を開けられ左側の乳首を指で円を描くようになぞられながら、右側の乳首を吸われる。足は開かされ、そこに腰がグイグイと押し付けられる。 「あっ……ちょっと乱暴っ!」 「乱暴な方が好みって聞いたんだけど?」 「んっ……。」  男はわざとらしくリョウのズボンを剥ぎ取り、自身もズボンを脱ぎ捨てる。 「あぁ……こうやって見るとやっぱり男って感じだな。後ろ向けよ。」 「男とヤりたいんじゃないのかよ……。」 「味見だよ味見。俺は異性愛者だってば。お前みたいな少し線が細い方が抱きやすい。」  男はリョウを裏返し溝に己のものを擦り付けながら、背骨に沿って指先を上から下にずらしていく。 「お、今反応したか?傷だらけの背中でも感覚はあるのか。それともその分敏感なのか?」  背中を触る指先はほんの少しで焦らすようにゆっくり動く。時々爪が引っかかって僅かな痛みが走る。  何往復かしてくると男は逆の手でリョウのお尻を掴み、穴を広げる。 「おい、これ綺麗したんだよな?入るのか?小さいな。」 「……っ、入る。解してあっからさっさと入れろ。」 「なら、遠慮なく。」  男は己のものにローションをつけるとぐっと腰を掴み押し入れる。中は温かかく、ローションと体液でヌチヌチと音がなり、時々ビクっと中が動く。 「意外とすんなり入るな……。日頃ヤッてガバガバなのか?」 「っうっせ。」  それから男はノッてきたのか早々に激しく動きはじめ肉と肉がぶつかる音とリョウのうめき声が部屋に響く。 「うっ……はっ。」  リョウはベッドシートに爪を食い込ませながら頬を紅色させ腰を上げる。 「はっ、いいな……おい、ちゃんとしろ。」  男は腰をより強く掴み、そこが赤くなる。それを気にせず覆いかぶさりながら自慰をするように腰を叩きつける。 「んっんん……。」  前の方から汁を垂らしながらリョウは体中が熱くなり汗をかく。男の汗も垂れて肌と肌が接触する所で交じりリョウの体をなぞっていった。  

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