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第2話 ※残酷表現 ※攻めの女性との絡みあり

青年に運ばれホストクラブへと戻ったキラは、ガーゼや絆創膏だらけで客前に出るわけにはいかないと、支配人に言われ裏方の仕事に徹した。 仕事が終わった頃には空が白み始めていた。 ホストクラブの更衣室にて身支度を済ませて、いつものホテルに向かう。どの部屋に向かえばいいかはスマホに来たメールで確認する。 狭いロビーの受付にいた人物に札を数枚渡して、エレベーターに乗りメールに書いてある部屋番号と同じ部屋に向かう。 ドアを開けると狭い部屋のベッドの上に、派手な長い髪の女がいた。 その女は華やかな下着姿で退屈そうにスマホを弄っていたが、キラが入ってくるのを見て目を輝かせた。 「キラじゃーん!久しぶり〜!」 馴れ馴れしく甲高い声に、眉間に皺が寄りそうになるが、いつもの女受けする笑顔を貼り付ける。 「やあ、久しぶり子猫ちゃん。今日は一段と可愛らしいね」 と言いつつも、誰だったかは思い出せないが。 金を稼ぐ手段としてしか女性を見ていないキラに取っては、皆同じに見えるのだ。 これが知り合いからキラはクズだと言われる所以である。 「でしょでしょ!今日はキラに会えるって聞いて、気合い入れてかわいいの選んできたの〜!」 下着を見せつけながら、女はきゃいきゃいとはしゃぐ。 するとキラの怪我を見て女は言う。 「ていうか…キラこそどうしたの、その顔。ガーゼと絆創膏だらけ」 「ああ、ちょっとトラブルがあってね。本当はこんな情けない姿を見せたくなかったんだけど…。どうしても君に会いたくて…」 わざとショボくれて見せるキラに、女は自分に会いたいという言葉に喜び、慰めつつ尚も何か話している。 (女はうるさいが、良い所と言えば…) キラはさりげなく女の肩に手を滑らせ抱き寄せると、お喋りが止まる。 にっこり微笑んで見せると、女は顔を赤らめ恥ずかしそうにする。 「もう、早くない?もうちょっと話そうよ〜」 「ごめんね、君を見てたら我慢できなくなって…」 言いながら女のブラのホックを外し、首へと顔を擦り寄せる。 女はくすぐったそうにしてキラの背中へと両手を回し抱きしめる。 ブラを取り払ったキラは女の首から胸、胸から腹へと唇を滑らせ……そして 大きく口を開けた。 「失礼しまーす!時間っすよー」 ドアがガチャリと開けられ、清掃員の格好をした男が入ってきた。 「うわぁ…こりゃまた派手にやりましたね。誰が掃除すると思ってんすか…!」 キラがいるベッド、床、果ては壁にまで血が飛び散っている。 そして、ベッド上には肉が剥がされ殆ど骨しか残っていない物体がある。 呆れながらプリプリ怒ってみせる軽薄そうな男に、キラは鬱陶しそうにしながら女だったものから顔を離す。 「…腹が減ってたんだよ。他の奴もこれくらいやってるだろ」 言いながら口から滴る血を袖で乱暴に拭う。 「まあ、そうっすけど。あんた、普段はもうちょっと上品にするじゃないっすか。…つーか、何その絆創膏とガーゼ」 「知らない奴に因縁付けられて殴られたんだよ。それを応急処置した時のやつ」 顔同様に血塗れになったガーゼや絆創膏を剥がして、男の持ってきた大きい黒い袋へと投げ入れる。 「応急処置も何も、人間を食っちまえば傷なんか治るでしょ?今も傷なんか見当たらないし…何でわざわざ?」 「…やったのは俺じゃない」 男は着替えも持ってきてくれたらしい。キラは、新しいスーツに袖を通しながら、あの青年について思いを馳せた。 緊張していたのか、ぎこちないながらも一生懸命にガーゼや絆創膏を貼っていた彼。あの時の霞む視界の中でも、ハッキリ見えた真剣な表情。そして、こちらを心配する優しい声。 彼を思うと何だか不思議な気持ちになり、むず痒い。 「もう!ボーッとしてる暇あるなら、掃除しなきゃなんだから早く着替えて出てってくださいっすよ…!」 着替えの手が止まったキラに対して、床の染み抜きをしながら男は言う。 急かされたキラは手早く着替えて、男当てに札を数枚テーブルの上に残し、部屋を出る。 「じゃあ、後は頼むよ」 「まいどありっすー!」 異様なその場にそぐわない男の声が響きドアが閉まる。
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