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最終話
一年が経ち、大翔は無事に教員採用試験に受かり教師になった。まだ副顧問という立場だけれど、野球部顧問を志願し目標は甲子園出場を掲げている。
勤務先は違うけれど、これから練習試合や大会で顔を合わせるかもしれないねと笑い合った。
手を伸ばせば触れられる距離に大翔がいてくれる。
たくさん喧嘩をするだろう。
たくさん泣くこともあるだろう。
けれどそれと同じくらいたくさん笑うこともあるのだろうと前を向いていける。
大翔とならハッピーエンドのその先へといけると確信があった。
「なに笑ってんだよ」
「幸せだなって思って」
「俺も。この幸せはこれからもずっと続くんだぞ」
「嬉しい」
手を伸ばすとぎゅっと握り返してくれる。
左手の薬指には真新しい指がきらりと光った。
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