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第66話 記憶

 玲奈はもうヤクザのバシタ(女房)として、どっぷり浸かって荒んだ生活をしている。  母親は落ちぶれて、ヒカルが渡す生活費で暮らしている。  ヒカルと玲奈の実の父親を探してまた、よりを戻そうとしている。  整形を繰り返して年老いた不気味な女は、誰も相手にしない。玲奈の行く末を見ているようだ。 「時々思い出すのよね。 あの会員制秘密倶楽部。夢だったのかなぁ。 麻布に行っても見つからないの。探せなくなってる。」  マサミ会のメンバーだった女優の卵、が呟く。 もう、芸能界からは足を洗った。 「足をあらった、とかヤクザみたい。」 「大山さんは細々とテレビに出てるね。 ザ・オワコンショー,というのに出てた。」 『あの人は今?』的な番組で、終わったコンテンツとして笑い者にする自虐的な番組だ。  それでも呼ばれるといそいそと出る。悲しいマスコミ病だ。  ハルクはスクスクと育っている。母はいなくても周りに優しい人がたくさん見守ってくれている。近くにインターナショナルスクールがあって、そのプレのような子供園に通っている。  大使館が多い六本木で外国の子供達に混ざって通っているのでバイリンガルになっている。  相変わらずヒカルは「イカァ」太一は「イッチー」だが。この頃少し背が伸びた。  ハルクは美少年になりそうだ。            ーー終わりーー

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