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第36話
「陛下、愛しています」
「俺もだ。エルヴィン、愛している」
視線が交差し、やがてルークの唇がエルヴィンの唇に近づいてくる。エルヴィンは背伸びをしてルークの口づけを受け入れる。
甘い、とろけるような口づけだった。最初は丁寧に何度か口づけされ、エルヴィンの唇が半開きになったときにルークの熱い舌が狡猾に中に入り込んできた。
「んんっ……」
ルークの舌がエルヴィンの舌に絡みついてくる。じゅるっとおいしそうに舌を吸われてルークにこのまま食べられてしまうのではないかと思った。
「はぁっ……エルヴィン……」
口内の粘膜を舐められ、舌を絡ませるとエルヴィンの腰が思わず揺れる。身体がほてって熱くなって、もっと欲しいと浅ましい感情が芽生えてくる。
「陛下、熱い……身体が、熱い……」
はぁはぁと息が切れる。自分の身体なのに様子がおかしい。
「エルヴィン、まさか発情してるのか……?」
暖かい季節になると、成長した猫獣人には発情期が訪れることは知識として知っていた。エルヴィンも思春期を迎えたあたりから自分にも発情期が来るのかと漠然と思ってはいたものの、十八になるまで一度も発情したことはなかった。
身体中が熱くて、腰が疼いて、無性に誰かに触れてほしくてたまらなくなる。これが発情なのだろうか。
「僕は発情期を迎えたことがなくてよくわかりません」
「間違いない。婚礼式が終わるころ、エルヴィンから妙にいい匂いがすると思っていたのだ。男を誘う、魅惑的な香りがな。だからアイルもあんなことを言ったんだな」
ルークは冷静に分析しているようだが、エルヴィンはそれどころではない。ルークが欲しくて欲しくてたまらない。この身体に触れてほしい。落ち着きのない下半身の熱を解き放ってしまいたい。
エルヴィンはルークの身体に頬を寄せ、ルークに自分の首筋を擦りつける。
「陛下……」
上目遣いでルークを見て、喉をゴロゴロ鳴らす。ルークに助けてもらいたかった。熱くなる身体をどうにか収めてもらいたかった。
「俺を誘ってるのか? 可愛い……たまらない……」
ルークはエルヴィンの身体を簡単に掬い上げて、横抱きにする。
「エルヴィンはこんなにも軽くて小さいのか。できるだけ優しく抱くようにする」
ドサっとベッドの上に下ろされ、上からルークがのしかかってくる。エルヴィンの上に乗るといっても、ルークはエルヴィンを押し潰さないように加減してくれているのがわかる。優しさと同時にルークの少しの身体の重みを感じて胸がじんと熱くなった。
「あぁ……んっ……ふっ……」
はだけた初夜着のローブの裾から、ルークの熱い手が侵入してくる。その手が脇腹や太腿を這うたびに、エルヴィンは過剰にビクビクッと反応してしまう。
ルークに触れられるとそれだけで気持ちがいい。もっとたくさん、いいところに触れてほしいと身体が疼いていく。
乱れた服はいつの間にかルークの手で剥ぎ取られ、薄い布の下着一枚にされていた。
「あっ、やめっ……そこ……身体がピクピクしちゃう……っ」
ルークの舌はエルヴィンの身体中を愛撫し、今度は胸の小さな突起を弄ぶ。発情して熱くなった身体は、そこへの刺激だけで下半身を昂らせる。
みっともないことにエルヴィンは股間の屹立の先端から愛液を溢れさせていた。
「ここが気持ちいいのか? エルヴィンの腰が揺れているぞ」
ルークは言いながらエルヴィンの下着に手を差し込んできた。もともと身につけているのかもわからないくらいの薄布の下着は簡単にはらりと落ち、そこからエルヴィンの昂りがぶるんと顔をのぞかせる。
「初夜着のエルヴィンを乱すのはたまらないな」
ルークは屹立の先端を指で撫でた。ずっと触れてほしかった場所を指で遊ばれてエルヴィンは「あぁ……っ」と卑猥な声を洩らしてしまった。その声にぴくりと反応したルークがエルヴィンのものを上下に扱き、さらに責め立てる。
「陛下、だめ、あっ、気持ちよすぎて出ちゃうっ、出ちゃうから……!」
「出しなさい。こんなに発情してるのに、我慢したら身体に悪い」
「あっ、あっ、いく……いっちゃう……!」
射精を許されて、理性が緩んでしまった。エルヴィンは遠慮なくルークの目の前でビュルルと白濁を解き放つ。
「はぁっ……はぁっ……」
どうしよう。人前でこんなことをしたのは初めてだ。恥ずかしくてどこかに隠れてしまいたい気持ちに駆られていく。
「俺の手でちょっと触っただけでこれか。エルヴィンは淫らで可愛いな」
発情して、感じて、達してしまったのに、ルークはその姿を可愛いと言う。こんな乱れた姿をさらけ出すなんていけないことだと思っていたのに。
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