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エピローグ

 絶えず多くのひとが行き交う、渋谷駅前。  そこに新たなポスターが掲載された。  道行く人は先を急いでいるのにも関わらず、目を奪われたようにその前でふと立ち止まる。  ガラス細工のように美しい東雲律、一躍時の人になった吉良紡。ふたりでひとつ、唯一無二の存在。それが「One」。  輝きを増した律の隣に寄り添う紡の瞳は、いつにも増して星を蓄えている。キラキラと眩しいその瞳は、今も昔も変わらずいつだってまっすぐに律だけを見つめる。  「One、来月デビュー」  目立つように大々的に書かれたそんな文字に、女子高生は興奮しながら写真を撮る。そしてSNSにアップされると、更に話題を呼び、人々は期待を募らせた。  まるでぴったりと嵌るパズルのように、隣にいるのがお似合いのふたり。彼らの物語はまだ始まってすらない。  誰もがその時を待ち遠しく思っていた。  都会の喧騒は、止まない。  いつまでも動き続けるこの街で、吉良紡と東雲律は生きている。  隣に並んで、彼らだけの旋律を紡いでいく。  【完】

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