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翌日の夜。街(ソーホー)では、レオと俺の関係が周知の事実になっていた。 それから1週間もしないうちに、レオと俺のことは街のトレンドじゃなくなっていた。 ひと月もすれば、かつての客達がレオに予約の連絡をすることもなくなった。 都会は、何もかも移り変わりが早い。 そして、2か月が過ぎて。 レオは、かつてに比べれば随分と慎ましやかに生きていた。 薄化粧のままではあるが、香水は変わった。キツすぎなければ好きなものをつけたらいいが、より俺好みの匂いを選ぶあたり、なんというか、いじらしいヤツだと思う。 ボーイを辞めたとはいえ、顔や体にあれこれ塗りたくったり、暇があればエクササイズをしたり、毛の処理をしたりと、体の手入れに余念がないのは好きでやっているんだろう。 相変わらずチャラついてはいるが、身なりも随分大人しくなった。当然、かつてのパパのカードはもう持っていないが、多少の蓄えはあるらしい。俺に金の無心をすることもなく、以前は当たり前だったブランド品やハイブランドの服をねだったりもせず、バカンスやらリゾートに連れてけと言うわけでもなく、ヒモというほどヒモでもない生活をのんびり満喫している。 昼は気ままに遊び歩いてるようだが、レオが自ら話さなければわざわざ聞いたりしない。結局、俺があまりにも個人的なことを詮索しないせいで、彼は自ら日報みたいな報告話を毎晩してくれるが、特にやましいことも隠し事もないようだ。 それはさておき、相変わらずソーホーにいるレオは、仕事を辞めたわりに変わらず情報通で助かっている。 夜は歓楽街で合流して俺のウチに帰るから実質の同棲状態だが、自分のフラットは解約していないのは、物が多いかららしい。とはいえ、ウチには少しずつレオの物が増えつつあり、3階の物置部屋なんかは彼が自室になっている。が、俺がウチにいる間、レオはだいたい側にくっついているから、なんというか、でかい犬みたいだ。 そして俺は、ようやく。 「レオは、俺の男だ」と腑に落ちたのは、レオと居る時間のひとつひとつが、確かに幸せだと素直に思えるようになったからだ。 * * * それから半年もして。 自分のフラットを引き払ったレオは、代わりにソーホーの一角の小さな地下のテナントを借りて、バーを始めた。(引き続き、俺の部屋に住んでいる。) 相変わらず、情報屋として協力してくれているレオは、まぁ、健気なヤツだと思う。 そして。 俺達の関係が多少個人的に結ばれようと、生業が変わろうとも。 これからも、俺達は愛すべきこの街で生きていくことは変わらない。

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