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――αの父は、Ωの母に優しくなかった。母が死んだ時も、泣かなかった。ただ、オレと血がつながっているから、大学までは面倒を見ると言われた。
住まいだけは、もう、父が持ってるマンションの、余ってる部屋に入れて貰ったから、それはありがたく入って、あとの出された学費に関しては、返すつもりで、勉強とバイトを両立させてきた。
ただ、三年になって、実習も増えて、すごく忙しくなった。
大学で研究したいことも増えて、バイトが、夜しか出来なくなってきた。となると、朝が起きられないし、日中も眠い。
困った。
でも、あんな父の、援助は受けたくないんだ。家だって、ほんとは住みたくない。
貰った金を、使わなくても医者になった、と言って、突っ返してやるのが、ささやかな夢。
でも、まあ、病気になったり、ヒートが酷くなったりしたら、一時借りようかなとは思って、とりあえず、受け取ってはいる。だって、大学に行けないのは、シャレにならない。
……話がそれた。
そうだ、そう、その父がね。
かなりのイケメンでルックスと家柄と、経営とかの能力だけは、めちゃくちゃ優れているらしい。まさに、αって感じの人で。
だからなのか――イケメンにむしろ、敵意があるというか。イケメンはαに多いからもうそれだけで興味がないと言うか、いや、むしろ、嫌なイメージしかない。イケメン、嫌い。
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