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第1話 春の匂いと、白い影

山の奥の神社。誰もいないと思ってた境内で、白衣姿の青年に出会った。 紫の髪が風に揺れて、まるで現実じゃないみたいだった。 「……こんにちは」 声をかけた俺を見て、彼はほんの少し微笑んだ。 ――名前も知らないのに、もう目が離せなかった。

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