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第18話 はじめて、触れた

夕暮れの神社。 風の音と、鳥の声だけが静かに響いていた。 「レンくん」 俺はそっと、彼の手に自分の手を重ねた。 驚いたように目を丸くして、それでも―― 「……あったかい」 小さくつぶやくレンくんの声が、すぐ近くで震えていた。 「もう、ひとりじゃないよ」 その言葉に、ほんの少しだけ、彼の肩が揺れた気がした。 そして、レンくんの指が、俺の指をぎゅっと握り返した。

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