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第20話 ふたりだけの記念日
【第20話:ふたりだけの記念日】
「ねえ、覚えてる?」
神社の境内、夜の空気は少し冷たくて、でも星がやさしかった。
「君がここに来てから、ちょうど100日目だよ」
レンくんは、ぽつりとそう言って、
懐から小さなお守りを差し出した。
「これ、僕が作った。ひとりじゃないって、証にしたくて」
指がふれた瞬間、鼓動が高鳴る。
「……ありがとう」
声が震えたのは、きっと夜風のせいじゃなかった。
「じゃあ……願い事しよっか、ふたりで」
その横顔が、いつもより少しだけ大人に見えた。
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