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第30話 君の手を、今度こそ

「レンくん」 放課後、神社の裏庭。 春の風が、桜の花を散らしていた。 レンくんがゆっくり振り返る。 「この間の……あの時の気持ち、ちゃんと伝えたい」 自分でも、声が震えてるのがわかった。 でも、目はそらさなかった。 「俺、君が好き」 「ずっとそばにいたいって、思ってた」 レンくんの目が、ふわっと揺れる。 少しの間―― 静かな空気が流れて、 「……僕も、好き」 小さな声が届いた。 今度は、ちゃんと手を握った。 あたたかくて、柔らかくて、 ずっと離したくないと思った。 神域に咲いた、君との縁 ~ 第一章・終

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