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第2話:役目

それから僕は異世界のお偉い様方に重要な役目だとかいい感じに言われ一見建物ではなく綺麗な宝石のように見えるとこに押し込まれた。 特に抵抗する気もないが縄で繋がれペットのように連れ出された。それでも普通に大人しく着いて行くが、僕と違い僕を見張っている人やこの国の人は背が高いので歩幅が大きい。頭ひとつ分余裕で違う。 それに元々動いたりするタイプではなかったから、歩幅も違って歩く速さが全然違った。だからなんだかんだ縄で引っ張ってくれるのは有難かったなと呑気なことを考えながら宝石のような建物の奥に歩いていく。 少しして開けた場所に出た。そこには誰か一人を2~3mほどの高さのキラキラと輝く宝石のような石のようなものに縛り付けおくような場所があった。そこで僕はここでまた終わるんだな。と呑気に思った。 どうせあの事故の時のように、家族に化け物として見られ愛してもらえないと知って自分の心を捨てた時のように、きっとすぐ楽になるんだろうな。と他人事のように思っていた。 自分の役割はしっかりと分かっている。ここで僕はやっと疫病神でも化け物でもなく、ちゃんと迷惑をかけることなく「人」の役に立てること。正直結果はどうあれ嬉しかった。 僕は静かにその人ひとり収まりそうなところを目指して足を進めた。途中衛兵に、おいっと縄を引っ張られた転びかけたが見届けに来た王様らしき方が止めるなと指示を出し僕の行動を眺めていた。 こんな僕でも役に立つのなら、こんな化け物のような性質を持ってしまった魂でいいなら僕の存在ごと、この国に使ってください、と願いながら進んでいく。 周りはなぜだか息をのんでいたが、そんなことはどうでもいい、もうなんでもいい、いいから。 人を辞めて眠りにつきたかったのかもしれない。 実際この時、僕が何事か少しづつか光り出していた。 そのまま目の前の石に額をくっつけ、僕の存在と引き換えにこの国で、世界で起こっていることの改善を強く願った。 ここに召喚されてから、そもそもこの建物から出たことも外を見たこともないからどんな問題があるのか分からない。 けど、きっと人が国を作って生きている限り僕の国にもあったように世界的な、政治的な問題は色々存在するだろう。 僕にあるであろう力と命と存在全てを捧げて、こんな僕で良いのならどうぞ受け取ってください。民を、全てを守ってほしいと……。 強く願い石を抱きしめた。 その時辺りは目が開けられぬほどの光に包まれた。 気が付いたら僕は暖かいような硬いような何かに包まれ永遠の眠りへと入った。 僕は、人柱となった。

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