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第18話 君と結ぶ、春の縁
春の神事──桜の舞う境内に響く祝詞と、鈴の音。
参拝客が戻った後、ふたりは本殿前の石畳に腰を下ろした。
「今日は、ありがとう」
悠馬が呟くと、レンは少し頷いて春風に髪を揺らす。
空にはまだ灯籠の残り火がぽつりぽつりと輝き、
桜の花びらが静かにふたりの肩に落ちた。
「この先も、ずっと隣で笑ってくれる?」
レンの声はかすかに震えていたけれど、目は確かに真っ直ぐで。
「もちろんだよ」
悠馬がそっと手を伸ばし、提灯の橙色に照らされた掌を重ねる。
そのまま唇を重ねたとき、
冬を越え、春に結ばれた縁が、ふたりをそっと包み込んだ。
これからも、同じ季節を、一緒に咲き続けていくだろう。
神域に咲いた君との縁 ―結びの章ー(完)
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