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第12話
今日は、例の水曜日だと藍田は、四時限目の授業が、終わったと同時に教室を出た。
周りからは、購買にでもいくのかと言われたが…
「まぁ…そんなところ…」と、足早に購買を、通り過ぎ三号棟の三階で、例の部屋が見渡せる廊下に隠れて様子を伺っていると、数分後に土屋が、別の階段から上がって来るのを視界に捉えた。
藍田調べによると、土屋は職員室の二つある出入口のドアのうち三年の教室に向かう時は、正面から言う右側を使い。
二年の教室に向かう時は、左側を使う。
一年と二年は、左側に教室があり右側が、三年の教室と区切られている。
漠然とだから左右の階段を分けて使っているんだなと、一ヶ月もの間、土屋に張り付いてい見張っていた藍田の行動は、傍から見れば浅はかと言えば、浅はかかも知れない。
ただ藍田は、あくまでも真剣に土屋を追っていただけだ。
そして、この水曜日の四時限目は、三年の授業を受持っているためか右側の階段を、上がってくることが多いのだが、一つだけ藍田には気に食わない事があった。
三年の授業終わりと言うこともあってか、三年の生徒達(特に女子達)に話し掛けられる姿を、何度も見かけたからだ。
楽しそうに笑ったり。
質問したり。
自分が、まだしたこもない他愛もない会話や冗談を、目の前でされるのに腹を立てていた。
自分だって、話し掛けたい。
でもどうやって?
印象最悪で今更、何を話す?
気軽に、相談できそうな悩みは無い…
簡単な雑談じみた話も出来ない。
それが、藍田の現実だ。
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