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 慶吾(けいご)の目の前にいる隆光(たかみつ)は、ベッドの上で驚いた様子で見上げていた。無理もない、寝室に入った途端慶吾に押し倒されたのである。 「おい、どうして遅かったんだよ。言ったよな、遅くなるなら連絡しろって」 「ごめんなさい、ケイさん……。急な会議ですぐに連絡できなくて。ほんとにごめん」  嘘ではないと明らかに分かってはいるものの、慶吾の怒りは収まらなかった。 「今日こそいっぱいエッチできるって思ってたのに……。ミツ、お前のせいだ!」 「そっ、それはそうだけど……。今からでもいっぱいできますよ? 明日休みですし」 「少しでも削れるのはやだ!」  自分でも理不尽なことを言っている自覚はある。けれども、一度ついてしまった勢いをどうするべきか慶吾自身でも答えはすぐに見つからなかった。 「だいたい、俺のことが好きって言いながら、いっつも我慢してるじゃねーかミツは。知ってんだぞ、本当はただ挿れるだけじゃ満足できないって」

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