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第38話

 須田の首に両手をまわす。陰茎に奉仕する余裕はなくなってしまった。須田に縋りついたら、のどだけで笑われた。きゅんと胸がうずく。  優しい須田が好きだった。面白味のない俺なんかに優しくしてくれる須田が好きなはずだ。 「いじわる、しないで」 「好きなくせに」 「っん、すき、すだ、すきだから、や、やだ」 「好きだろ、イジワル」  鈴口に爪をねじこみながら、亀頭を手のひらでこねられた。敏感な亀頭をいたぶられる。首筋に頬を押しあてた。脈打つ血管を頬で感じる。須田も、興奮してくれている。俺なんかの身体で、須田がーー。 「ぁッい、ああ」 「智也? イくときはどうするんだっけ」  唇を舐めた。須田に舐めてもらった唇は、自分の舌でも快感をひろう。渦巻く快感に涙がとまらなかった。 「いく、いく、イく、いく……ッ」  亀頭をこすられるせいで甘イキが止まらない。鈴口の爪で精液をせき止められていなければ、今頃射精していた。一度じゃない。何度も。先走りで濡れた陰茎を自分の精液で汚していた。 「イく、いきたい、須田、イきたい」  首にまわした腕で須田を引き寄せる。唇にキスをした。柔らかい唇をついばむ。舌をいれたら、絡めてくれた。 「いいこ」  鈴口をこねられる。射精感で浮いた腰を大きな手がなぞった。 「イく、イく、いくいくいくいくッ」  精液をせき止めていた指が亀頭を撫でる。鈴口が自由になった瞬間、勢いよく精液が飛んだ。腰が震える。須田の唇にちゅうちゅう吸い付いた。  キスをしたら、須田は髪を撫でてくれた。髪を撫でてくれる手についた俺の先走りが、黒髪にべったりとついた。 「ぁ、あ」  腰がかくかくと揺れる。精液をまとわせた指に後孔を撫でられた。きゅんとしまる後孔に薬指が入ってきて、狭いナカを指先がかき分ける。痛みに背筋を丸めた。 「ん、ぅ」 「痛い?」  痛いといったら、やめてしまうかもしれない。首を振った。快感で染まった脳はとろけていく。須田とセックスしたくてたまらない。 「きす、したい」  舌を突き出した。舌を絡めたキスが忘れられない。あんな快感を知ってしまったら、四六時中舌を絡めていたくなる。  須田の唇を舐める。自分からキスをして、唇のあわいに舌を入れた。ゆっくりと上顎を舐める。俺を抱きしめるちからが強くなったのが嬉しい。  咥内の舌を舐めた。キャンディを舐めるようにしゃぶる。須田の舌ごと唾液をすすった。ごくりとのみこむ。  俺が須田の舌に夢中になっているあいだに、後孔の指は二本になっていた。ひろげる動きをしていた指先が腹のふくらみを撫でる。声をもらしたら、何度も撫でられた。とんとんされるとたまらない。 「んぁ、あ、ぅ~~」 「かわいー」  グレイの瞳が欲望に染まっている。涙でぼやけた視界でも、須田はきらきらしていた。セックスをしている須田も格好いい。  額に浮いた汗がこめかみに流れる。バスケットボールの試合中の須田も汗だくだ。でも、こんな顔はしていない。セックスに夢中な須田に酔いそうになる。 「いれたい」  二本でひろげた後孔に三本めの指が入る。三本めの指もすんなり飲みこんだ。三本の指がナカをこする。ふくらんだ前立腺を撫でて、つぶして、とんとんされてーー目の前に光が散った。 「いぐ、ぁ、いぐ、すだ、いぐから、だめ、だめ、だめ~~ッぁ」  先走りと精液でぐちゃぐちゃになった亀頭を新しい精液が汚す。須田はまだ一度も射精していないのに、俺は二度も射精した。射精できずに達した回数を入れたら、何度達したのだろう。覚えていない。 「ふぅ、う」 「どした?」  涙がぼろぼろこぼれる。額がこつんとぶつかった。 「も、いれて」 「もうすこし」 「いれたいって、いった」  腹につくほど反った陰茎はびくびくしている。先走りで亀頭を濡らしているくせに、余裕ぶった須田にムカつく。少なくとも、俺よりは余裕がある須田が気にくわない。  ちからの入らない足をたくましい腰に絡めた。 「いれて」  グレイの瞳をみつめる。唾液をのみこむ音がした。  後孔に亀頭が触れる。焦らす腰を足でぐっと引き寄せた。 「……ゴムつけてないよ」 「ん」 「いいの」  須田がもたもたしているから、自分で亀頭を挿れた。腰を浮かせるだけで、とろとろの後孔は亀頭に吸いつく。ひろがった淵は簡単に挿入を許す。 「ぁ、あ、はいってくる」  須田は奥歯を噛みしめた。眉間にシワを寄せて俺を睨む。 「ともや」 「ぅ、あ、あ」  とん、と腰を動かされただけで亀頭をすべてのみこんだ。一番太い亀頭をのみこんだ後孔は、ずるずると幹もふくもうとする。須田はゆっくりと腰を進めた。ナカが収縮する。 「~~~~ッあ!」  挿れられただけで達した。汗ですべった手がシーツに落ちる。手首をシーツに押しつけられた。  ゆるく腰を揺すられる。達したばかりのナカは揺すられるだけで気持ちがいい。敏感になった後孔はささやかな刺激も大きな快感にする。  ずりあがって逃げようとする俺に、須田がキスをした。 「ぁ、だめ、しゅだ」 「ん~?」 「もう、おわり」  お願いをしたら、須田はいいよという。セックスを終わりにしたいとお願いしたら、終わりにしてくれると思った。 「やだ」  結腸にハメた陰茎をとんとん動かされる。頭を振り乱した。これ以上シたら、おかしくなる。 「やだやだしてんの? かわいい」 「や、やだ、おねが、しゅだ」 「すだっていえなくなっちゃったんだ」 「ん、しゅだ、ぁ、あ」 「ゆういちは? 呼んでよ、名前」 「なま、え、よんだら、おわり?」 「ん~、呼んでみたら?」  祐一。須田の名前。小学生の頃……須田が日本語に慣れないときしか呼ばなかった。照れくさかった。  でも、呼んだら。  セックスをおしまいにしてくれるかもしれない。 「ゆ、いち」 「ちゃんと呼んで」 「ぉっぐ、ざれだら、よべないっ」  とんとんされるたびに声が裏返る。須田の背中に爪を立てた。綺麗な背中に爪の痕が走る。 「あ、う、ゆういッ」 「はやく」 「ゆう、ゆういち、ゆいち、ゆういち」  須田はキスをしてくる。ちゅっと音がした。 「これからは名前呼んでくれる?」 「や、やだ」 「じゃあダメ」 「~~っひ、ぅあ、よぶ、よぶから、やだ」 「あんまりやだやだされるとヘコむ」  須田は膝にのせていた俺をシーツに押し倒す。太股をまたがせると、足を抱えて揺すってきた。深く入りこんだ陰茎にナカをめちゃくちゃにされる。動きやすくなった須田は楽しそうに俺を犯した。 「おわり、おわりって、なまえ」 「考えるっていっただけ。それに、これからも祐一って呼んでくれるワケじゃないんだろ。じゃあダメ」 「や、ぅ、う」  泣き出した俺に須田は口角をあげた。目元に唇を寄せられる。涙を舐められた。 「俺のことだけ考えて」  ナカが収縮する。息を止めた須田は、俺に覆いかぶさってきた。

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