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第1話
それは、ひと月ほど前から始まった。
週末の夜になるとお隣から聞こえてくる喘ぎ声。今夜ももうすぐ聞こえそうだ。
(…あっ…そこは、やだ)
(なんだよ…ほら、こっち向けって)
(あぁ…もう…)
(ちゃんと、口を開けろ)
(ねぇ、指じゃだめ?口内炎がさ、痛いんだよ)
(じゃあ、舌出して、しゃぶれよ)
なんか、たぶん舐めてるような音。
(…あぁ…いいよ…気持ちいい)
それから、肉同士が重なり合ったペチペチかパンパンかそんな音がして
(あぁん…そこ…もっと突いてよ)
(こうか?)
(う…うん…あぁ…いい…凄い)
はぁはぁという荒い息づかいがしばらく続き、高速パンパン音の後、うっ、と言う声。そして長めの、はぁ…と息を吐く音。
だいたい三十分のインターバルの後、次はあからさまなパンパン音は無くて、あ行で始まる喘ぎ声が続く。
ああん…いやん…うっうん…えぇえ…おおっ…
正常位か騎乗位か、まぁどうでもいいけど。
だいたい二、三時間、こんな声や音を繰り返し出して、静かになる。
声から判断して明らかに、男同士の交わりだ。
でも、お隣は気のいい高齢のおばさんが一人で住んでいるはずなんだけどな…
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