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第20話
俺が発情期 になって3日目の昼。
初日と2日目は、双子 とずっとベッドで過ごした。
ヒートって、ほんとにこんな、どうしようもなくなるんだ・・・。
最悪・・・。
「あれ、ナオ、どうしたの?」
「俺たちの服なんて持って・・・おい、どこ行くんだよ、Stay 」
「コマンド使うなぁっ!」
そろそろ落ち着きたいと思い、双子の服を抱えて自分の部屋に篭ろうと思ったのに。
「巣作りするなら僕たちの部 屋でして?」
「ナオ、Come 」
「ぅゔー・・・」
ナギのコマンドには逆らえない。
サブドロップ恐いし。
仕方なく、抱えていた服を双子のベッドにばさっと下ろし、気が済むまで捏 ねる。
だんだん真剣になってきてしまう俺を双子が嬉しそうに見てんの、むず痒い。
「・・・・・・出来た」
「うん、上手だね」
「Goodboy 」
双子に褒められ、ふわふわしながらベッドに潜り込む。
ふー・・・今日はここで、うとうとして・・・明日は学校・・・行ける・・・かな・・・。
「思ってたより軽いな。もう巣作りだけで満足してんじゃん」
「僕たち2人で相手しちゃってるからかもね」
・・・あれで軽いのか?
俺、何回イったと思ってんの?
まじで、サブドロップよりヒートの方が恐い。
「なー、ナオー、俺も入れろよー」
「ナオー、僕もー」
「あっ、崩すなよおっ」
双子まで入って来て、せっかく納得のいく状態にした巣が崩れた。
双子込みで、再び捏ねる。
「拘 ってんなー。違いがわかんねぇけど」
「しっ、本人は真剣なんだから・・・」
「煩いぞ」
「「ごめんなさい」」
・・・・・・・・・よし、こんなもんかな。
双子の間に潜り込み、満足して寝に入ろうとした時だった。
───────コンコン
「はあい」
ノックの音にナミが返事をする。
ドアが開くと、ソウマさんが入って来た。
「そろそろ落ち着いたか?」
「うん。巣作りで満足しちゃってる」
「俺たちはまだ足りねぇけど」
「お前らなぁ・・・ナオ、飯食えそうか?焼きそば作ったぞ」
「ソース?」
「塩」
「食う!」
さすがソウマさん、俺の好みをちゃんとわかってる。
「せっかくナオと巣篭もりしようと思ったのに・・・」
「焼きそばに負けた・・・」
なんか言ってる双子を置いて、ベッドから下り部屋を出ようとしたら、ドアの前でソウマさんが俺の額にぺちっと掌 を当てた。
ちょっと冷たい。
「ん、熱もなさそうだな。初めてのヒートにしちゃ軽いな。一度に双子相手にしてるからか?いっぱい食えよ?」
「ソウマさん、双子をひとりに産み直してよ」
「そんな技 はねぇ」
歩き出したソウマさんの後ろを付いて行こうとすると、身体がふわっと浮いた。
この抱き方はナミだ。
「歩けるって・・・」
「少し足元がふらついてる。階段で転びでもしたら大変でしょ?」
「ナオ、大人しくしてろ」
「・・・はいはい」
ナミに抱っこされたまま1階のダイニングへ。
イスに座らされ、いつも通り双子が俺を挟んで座り、ソウマさんは俺の正面に座る。
目の前の皿には、少し多めに盛られた塩焼きそば。
具は豚バラ、キャベツ、ニンジン。
キャベツとニンジンは、麺に絡みやすいように細く切ってある。
「いじわる・・・」
「優しさだろうが。お前、こうでもしないと麺しか食わねぇし。細切りにすんの面倒臭いんだぞ」
「ありがとーございまーす。いただきまーす」
とりあえず、豚バラは避け易いな・・・。
「ナオ、お肉も食べようね?」
「くちOpen 」
「・・・んぁ」
結局、途中から箸を取り上げられてしまった。
飯くらい自分で食えるのに・・・。
「あ、そうだ。セナとハヤテ、明日の10時半くらいに日本 着く便だってさ。空港まで迎えに行くから、寝坊すんなよ?」
「んぅ?・・・んん、行かない。学校行く」
「「学校行く?」」
俺の発言に双子が声を揃えた。
なんだよ、もう平気っぽいし、学校行くだろ。
「義両親が帰って来るのに、学校なんて行ってられないよ」
「挨拶しないとな」
「おい、何の挨拶する気だ。あと、まだ義両親じゃねぇだろ」
結局、明日も休んで両親を迎えに行く事になった。
俺が学校に行きたかったのは、迎えに行くのが嫌だったからなんだけど・・・。
親が海外行ってる間に色々あって、なんか気まずいし・・・。
「ごちそーさまー」
「ちゃんと食えるじゃねぇか」
「僕たちが宥 め賺 して、やっと完食出来るようになったんだよ」
「あとコマンドも駆使してな」
「ほんと、赤ちゃん時から世話が焼けるな、ナオは」
「麺だけならひとりでも食えるって・・・」
「「「それがだめなの!」」」
「親子で声揃えんのやめてくれる?」
食後のトークも済ませ、俺が2階の巣をまた捏ねに行こうかな、と思った時だった。
ソウマさんのスマホに着信。
・・・嫌な予感。
「あ、ハヤテ?今昼飯食わせたとこ。そっちは帰国準備出来たのか?」
話を振られる前に、部屋に行こ・・・。
「ちょっと待ってな。ナオ!」
「・・・はぃ」
がしっと腕を掴まれ、スマホを渡される。
問答無用かよ。
「・・・もしもし」
『あ、ナオ?ヒートきたんだってね、おめでとう』
ヒートって、祝うもんなの?
俺の死因が増えただけだと思うんだけど。
『体調はどう?』
「今はへーき。これからまた、巣を捏ねようと思ってたとこ」
『ナオは2人分の服で巣作り出来るから、いいねえ。良かったねえ、ナオ』
「別に・・・まあ困りはしない」
双子は割とファッションにも気を使う方だから、巣に使う材料も豊富だ。
あ、そうだ、今着てる部屋着は洗濯しないで取っといてって、言っとかないと。
『セナは心配してたよ。ナオの体力が持たないんじゃないかって。ランニングはしてる?』
あ、忘れてた。
「そのうち・・・」
『ヒートが終わったら、双子とランニングに行っといで。運動神経悪い訳じゃないんだし、出来るでしょ?』
「えー、めんどー・・・」
『こら。いつもナオのお世話してくれて、大切に守ってくれる双子のためにも、頑張ってあげて』
双子のため、か。
そういや、俺が双子のためになんかした事って、あったっけ?
・・・・・・・・・・・・・・・あれ、思い当たらないな。
確かに、ずっと世話にはなってるし、これからも世話になる訳だし、ランニングくらいならしてやってもいいか・・・。
「わかった・・・頑張る・・・」
『うん、いい子だね』
まあ、一緒にランニングする事が、双子のためになるのかはわからんけど。
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