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第28話
「本日の練武はここまでとする。解散」
先生の一言で練武は終わった。デューフィーの寮生は足並み軽やかに寮館へと帰っていったが、シャルメーニュの寮生の足取りは重たかった。ぼくは階段に腰掛け俯いていた。屋敷でツィンバルトに稽古をしてもらってきて、自分には騎士の素質があるのではないかと思い始めていた。シャルメーニュの練武ではついていくのがやっとだったが、この辛い練武を乗り越えれば騎士としての道が切り開かれるのだと信じていた。
しかし、これほどまでに差があるものなのかーー。
悔しくて奥歯を噛んでいると、まわりのシャルメーニュの寮生やまだ駄弁っている余裕そうな顔のデューフィーの寮生がざわめき出した。そのざわめきはだんだんとこちらに近づいてくる。ぼくも顔を上げて人だかりができている所を見に行った。
「おい、見ろよあれ」
「ああ。あの長髪の黒髪に混ざった白髪の束の奇異な髪型は……」
「あれがデューフィーの最年少の騎士団長か」
「最年少? そんなにすごいのか?」
「ああ。デューフィーの寮の創設以来の才能の持ち主と名高い。そしていまや最年少でデューフィーの騎士団長と寮長に任命されている。まだ16歳だというのに恐ろしい人だ」
「ああ、あの翡翠の君 か」
その言葉を聞いてぼくは直感した。黒髪に混ざった白髪……そして何よりまごうことなき翡翠色のまばゆい光を放つ瞳……ハイリ。
ぼくは人集りをかき分けてざわめきの中心に向かった。
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