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第43話

「今度邪魔したらぶっ倒しておまえのことを襲うからな」 「……ごめん。でも、そういうのはぼくがいない時間にやってくれると助かるな」  きっと男の子と戯れ合うのは今回が初めてではないんだろう。ぼくはびくびくしながらそう伝えた。するとウルクは「へえ」と物珍しそうにぼくを見た。 「なんだおまえ。物申すようになったじゃねぇか」  じろじろと体を舐め回すように見られ、いい気がしない。ウルクは顔はそこそこ男前だし身体も筋肉質だけど、性格が横暴なので苦手だ。半年経っても仲良くなれなかった。 「知らなかったなんて甘いことは言わねぇよな」 「何を?」 「男どもが飢えた場所だ。何があってもおかしくないってな」 「痛っ」  ウルクはぼくの肩を押さえつけ、じたばた暴れるぼくの体をベッドに押し倒した。ギシリとベッドの軋む音がやけに生々しく聞こえてぼくは足をばたつかせた。 「暴れんな。意外とハマるかもしれねぇしな」  寝着の隙間から手を差し込みぼくの胸を探る手つきに吐き気を覚えた。 「……つまらねぇな」 「うっ……う」  いつのまにか恐怖のあまり涙を流していたぼくを見て、やりすぎたと思ったのかウルクが手を離した。ぼくはその隙を逃さずベッドの2段目に逃げた。  その夜は最低の気分で眠りについた。同室者に襲われる。そんなことが起こるなんてありえない。ぼくはそういう目でウルクに見られていたのだと知り、悔しくなった。

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