99 / 99

第99話 っお触りはお断りしてます!

 自分の無力さに打ちひしがれているところに、あの意地悪王子がとことこ歩いてきた。  さすがのぼくも今イラッとすることを言われたら、言い返す自信がある。 「おい。ちんちくりん。なかなか身軽なんだな。すばしこい猫に見えたぞ」 「猫じゃダメなんです。もっと大きくなって力をつけて狼みたいにならないと……!」 「お前いくつだ?」 「13歳です。今年14歳になります」 「そうか。まだ骨も肉も成長途中だな」 「なっ、なにするんですか!?」  ぼくは今、シス王子に服の上からおしりや胸を揉まれている。他人に触れられた経験が少ないからか、ひどくくすぐったい。  他の護衛隊のメンバーは殺気立つほど剣の訓練をしているのに、シス王子ときたら……! ぼくらがこんなに一生懸命働くのはシス王子を護るためなのに!  ぼくの怒りのゲージが爆発した瞬間だった。 「っお触りはお断りしてます!」  ぼくが大声を出したのが耳に入ったのか、訓練中の皆の視線が一気に刺さって皮膚がちりちりと痛む。電流が流れてるみたいだ。  王子は尚もぼくの肩や背中を揉んでくる。だからぼくはその王子の腕を振り払った。 「おいおい。いいのか? 王族の俺にそんな無礼なことをして、ただで済むとでも?」 「……構いません。ぼくたちはシス王子のために血を流しても戦います。なので、訓練の邪魔をしないでください」 「……っオズ!」  レフさんがぼくに駆け寄り、王子を見つめて言い放つ。 「王子。ご無礼をお許しください。けれど、まだ13の子どもに手をつけるのはおやめください」 「手をつけるだと? この俺が、こんなちんちくりんに? こいつには剣の力がないとわかってペットと思って撫で回してやっていたのが、そんなに不服か?」  ぼくとレフさんはぎゅっと口を噤む。反論できない。なぜなら、目の前にいる人はこの国の王子なのだから。  これ以上反抗すれば、僕と庇ってくれたレフさんにも鉄拳制裁が飛ぶ。  今は我慢しなくちゃ……堪えるんだ。  一番悲しかったのは、王子の言葉が的を得ていたから。  僕はこのチームの中では最も弱く、脆い。  それを痛いほど理解したからこんなに傷ついている。

ともだちにシェアしよう!