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4)初めての69

僕、茂はベッドの上で悠利と向かい合い、シーツの皺を指でなぞりながら、次のステップをどう進めるか話していた。 心臓がドクドクと鳴り、喉の奥が少し乾く。あの日の悠利の唇の感触、震えるような喘ぎ声が頭から離れない。 前回、悠利が勇気を出して僕を口でしてくれた。その熱い記憶が、胸の奥をざわつかせる。 次はどうする? もっと先に進みたい。そんな衝動が抑えきれなかった。 「なあ、悠利。次はさ…お互い同時に、69ってどうかな?」 言葉を口にした瞬間、顔がカッと熱くなった。悠利は一瞬目を丸くして、くすっと笑った。 「RPGゲームのレベル上げじゃないんだからさ、そんなに一歩ずつ進めなくてもいいじゃん」って、軽い口調で突っ込んでくる。 その笑顔があまりにも無邪気で、胸がキュッと締め付けられる。確かに、今のままでも十分気持ちいいのかもしれない。 でも、僕の心はもっと深いところに触れたいと疼いていた。 「まあ、そう言わずにさ」 ノリノリなふりで返したけど、正直、頭のどこかで迷いがあった。悠利のことが好きだ。それは間違いない。 でも、それがただの友情なのか、性的な欲なのか、それとも…もっと別の何か? 自分でもわからない。 前回、悠利が僕のために頑張ってくれたから、今度は僕が返したいっていう、変な義理みたいな気持ちもある。 でも、それ以上に、悠利とこの関係を進めたい。このドキドキを、もっと味わいたい。そんな想いが、僕を突き動かしていた。 週末、悠利がまた家に来た。家族が留守の静かな部屋。ベッドに潜り込むと、お互いコソコソと服を脱ぎ始めた。 気まずさと期待が混じった空気に、胸が締め付けられる。悠利が前回買ってきてくれたゴムを手に取り、二人で顔を見合わせて笑った。 「じゃあ…」と呟きながら、慣れない手つきでゴムをつける。悠利の少し赤らんだ頬と、照れくさそうに伏せた目が、妙に愛おしくて、胸が熱くなる。 お互い向き合い、ゆっくりと相手の股間に顔を近づけた。初めての感覚。悠利のモノを口に含むと、ゴムの滑らかな感触とほのかな匂いが広がる。 同時に、悠利の唇が僕を包み込む。温かくて、柔らかくて、ゾクゾクするような快感に頭がクラクラした。 「うーん…なんか、変な感じだな」って、頭の片隅で思う。 客観的に見たらエロいんだろうけど、僕の心はどこか冷静で、でも悠利の熱心な動きに引き込まれていく。 クチュクチュという小さな音が耳に届き、悠利の吐息が僕の肌に触れるたび、全身が熱くなる。 「やっぱり…悠利の顔が見たい」 思わず呟くと、悠利はすぐに察してくれた。体勢を変え、正常位のような形で僕を口で愛撫してくれる。 目の前に悠利の顔。少し汗ばんだ額、潤んだ瞳、唇の動き。その全部が、たまらなく愛おしい。 そっと頭に手を置くと、悠利の口がさらに深く僕を受け入れる。温かくて、滑らかな感触に、快感が電流のよう駆け巡る。 僕は悠利の胸に手を伸ばし、敏感な乳首を指先で撫でた。悠利の体がビクッと反応し、「んっ…」とくぐもった喘ぎ声が漏れる。 その声が、僕の理性を溶かしていく。 「お互いの顔見ながら…イこうぜ」 掠れた声で囁くと、悠利の目が一瞬キラッと光った。お互いの手で相手を愛撫し、視線を絡ませる 。悠利の瞳は少し潤んでいて、頬は赤く染まっている。 「茂…イク…っ」その可愛らしい声に、僕の心臓が跳ねた。次の瞬間、二人同時に果てた 。ゴム越しに感じる脈動、悠利の震える吐息、絡み合う視線。その瞬間、今まで味わったことのない満足感が胸を満たした。 まるで、僕たちの心が一瞬、完全に繋がったみたいだった。 ベッドの上で、荒い息を整えながら、悠利の顔を見つめた。汗で濡れた髪が額に張り付き、照れくさそうに笑うその顔が、愛おしくてたまらない。 「どうだった?」と小さな声で聞いてくる悠利に、僕は素直に答えた。 「うん。悠利の顔見ながらイけるの…やっぱり、めっちゃいい」 その言葉に、悠利は少し赤くなって、恥ずかしそうに頷いた。シーツの上で、しばらくお互いの体温を感じ合った。言葉はいらない。ただ、悠利の鼓動が近くで聞こえるだけで、胸が温かくなる。 外ではそろそろ家族が帰ってくる時間。名残惜しいけど、悠利をドアまで見送った。「また来週な」って、悠利が笑顔で言う。 その笑顔に、胸がまたドキッとした。「おう、絶対な」って、僕も笑って返した。 その夜、風呂に浸かりながら、悠利のことを思い出した。あの喘ぎ声、震える体、潤んだ瞳。全部が頭の中でリフレインして、興奮が冷めやらない。 シャワーの下、つい自分で触れてしまい、洗い場に白濁液をこぼした。 はは、情けないな、なんて思いながら、でも心は満たされていた。 悠利との時間は、僕の中で特別なものになりつつある。この気持ちは、友情なのか、愛情なのか、まだわからない。 でも、悠利の顔を見ながら感じるこのドキドキは、僕を新しい世界に連れて行ってくれる。次の週末が、待ち遠しくてたまらない。

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