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第40話
なんとか急いで二年の4月までに通学の準備を揃えて、一学期の初日から登校出来ることになった。
明日美が僕の隣を歩いている。
こうして並んで歩くのは何時ぶりだろうか。
学校について、校舎を見上げた。
聡介達と過ごした日々が思い返されて、酷く胸が締めつけられる。
でも、数日経つにつれてあの日々がだんだんと鮮明に思い出せなくなっている。
だんだんとあの世界での日々の記憶が掠れていっている。
何となく分かっている。
いつか、思い出すことすら無くなってしまうんだろう。
でも、それでも僕と聡介の繋いだあの時の手はいまも握ったままだと信じたい。
忘れてしまったとしても、聡介と過ごした日々が無かったことになる訳じゃない。
******
一学期が始まって数日がたった。明日美とは同じクラスになり、席も隣だ。
教室で、僕は漫画を描いていた。
少し焦げた肌に短くて黒い髪、整った精悍な顔立ちの男の子。
「できた、最終話」
描きあげたそれを見て、満足する。
「まじ?見せて見せて」
明日美に、横から完成したばかりの漫画をひょい、と取られてしまう。
「ったく、良いけどさあ」
まだ少し手直ししたい部分があったけれど、漫画を齧り付くように熱心に読む明日美に、何も言えなくなってしまう。
「良いよね、聡介。このキャラ超好き!」
「うん、僕も1番聡介が気に入ってる」
「だよねー!分かってるじゃん!」
「僕の作品なんだけど」
苦笑する僕に、明日美が「あはは、そうだった!」と大きく口を開けて笑う。
そうやって豪快に笑うところが明日美のいい所だ。
放課後になって、明日美と教室を出る。体育館の横を通り過ぎようとして、足が止まる。
「どうしたの?」
明日美が突然足を止めた僕に、不思議そうに首を傾げる。
「いや、ちょっと気になって」
「バスケ?あれ、他クラスの子達だよね」
「そうなんだ」
誰か知り合いがいた訳じゃない。そもそも1年は全く学校に通えてなかったから知り合いは明日美以外ひとりもいない。
ただ、バスケを楽しそうにしている姿に目が止まった。それだけだ。
「何、バスケ好きだっけ?ちょっと見学する?」
「ああ、うん」
明日美にそう言われて、体育館に入る。
髪を明るく染めた生徒が目立ってシュートを打っている。
多分人気者って奴なんだろうな。
その生徒がシュートを打つ度に見学している女子生徒達が歓声を上げる。
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