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第11話 恋人達の時間

光輝が冷司に誘われて、身を起こす。 「食前のキス、してもいいの?」 「いいよ」 クスッと笑い合って、光輝が四つん這いで這っていくと冷司の顔を見下ろした。 「じゃ、お疲れ様のキス」 チュッ 軽くキスして、顔を上げる。 「次は?」 「そうだなー、お久しぶりのキス」 そう言って、鼻を合わせてささやく。 「図書館で会うたびにキスしたかった、ずっと」 「して、ぼくもずっと……う」 チュッ、 チュッ、 唇を吸って、互いに顔を傾け唇を合わせる。 チュ、チュ、ん、クチュッ、チュッチュッ 「はぁ……」 「エロい唇」 ベロリと光輝が冷司の唇を舐める。 「シャツ、脱がせていい?」 「駄目」 「下は?」 「うーーーん、最後までやると、僕帰れなくなるかも」 帰らなかったら、母はどうするんだろう。 心配するんだろうか?怒るんだろうか? ……きっと、怒り狂う。 「そっかー、だよな。出すとこで入れるとこじゃないもんな。 うん、無理はしない、大事にするよ」 大事にするって言葉に、冷司の胸がキュンとする。 「光輝、ごめん、ごめんね」 光輝に腕を回してギュッと引き寄せ抱きしめる。 体力が無い冷司と、有り余る光輝の、アンバランスさは2人の溝にはならない。 そんな気がする。 光輝は、彼を全力で守りたい。 ずっと、守ってやる。俺が、お前を守る。 「冷司……好きだ、愛してる」 「僕も……僕も……光輝が好き、大好き」 「やっと好きって言ったな?」 「うふふ……」 冷司の頭を抱き髪を撫でて唇が触れた、その時。 ピイイイイイーーーーーーーー 「くっそ!なんだよこのヤカン!いい時に鳴る機能でも付いてんの?!」 光輝がムカつきながら立ち上がる。 それを見て、冷司がめちゃくちゃ笑っている。 お湯入れて、少し待っている間に光輝がアイスとヨーグルトをグラスに入れ、果物を切って飾る。 「はい、これデザート」 「えー、こんなの作るんだ。とても綺麗だよ。素敵だ」 「ランチで作るんだ。 見習いだから、調理師免許取ればまた給料も上がるし。 将来自分の店も持てるから。」 「コウには夢があるね」 「俺の夢がお前の夢になればいいな」 「光輝が夢を目指す姿が僕の力になるよ」 「言ってくれるじゃん、ほんとかわいい奴。くっそ、また惚れた。 さ、食べよ!」 笑って2人で向かい合いラーメン食べる。 なんて美味しいんだろう。 2人で食べるカップ麺が、どんな名のあるレストランの料理よりも輝いてる。 「美味しいね」 「うん、なんでだろう。いつも食うのに、お前と食うと万倍も美味い」 ふうふう、 クーラーの効いた部屋、熱いラーメンが美味しい。 いつもご飯が進まないのに、冷司もあっという間に食べてしまう。 デザートも食べて、お腹いっぱいで、光輝が片付けるとカーペットの上に並んで座ってもたれ合う。 「寒くない?クーラー」 「大丈夫、ラーメンでぽかぽかしてる。 楽しかったね、水族館」 「うん、市内のショボいところかと思ったのに、意外と凄かった」 「ひどいの!アハハ!」 光輝が冷司の肩に手を回す。 頬を合わせるとフフッと冷司が笑った。 「汗、くっつくよ」 汗と言うほど汗かいてない。 クーラーでサラサラだけど、2人が密着しているところだけが妙に汗かいてる。 「それがいいさ、汗も何もかも1つになれる」 冷司を横にして、口づけを交わす。 光輝が冷司のシャツに手を入れ、肌をサラサラと撫でた。 「あっ、いや……だ。 上のシャツ、脱ぎたくない。見せたく……ないんだ……」 「大丈夫、見ないから。 足はいい?」 「う……ん、でも変な格好になっちゃうよ」 「どんな格好でも俺は好きだから。 でも、服を汚すのはまずいな。家族にばれちゃうよ? まだ、バレるには早いだろ?俺はちゃんと挨拶に行きたい。 な、俺のシャツ貸すから」 「ごめんね」 「今度あやまったらお仕置き」 タンスから、長袖の薄手のシャツを出して冷司に渡す。 光輝が後ろを向いてる間に、冷司はサッと着替えて自分のシャツを横に置いた。 光輝が布団を敷いて、服を脱ぎ、バスタオルを敷く。 男同士のセックスなんて、何をどうしていいのかわからない。 横にワセリンはあるけど、使うかどうかはあとで決める。 「ゴムは一応あるけど、今日は入れないから。 下、脱がせていい?俺、お前のも触りたい。」 ビクッと冷司の背中が揺れる。 「触る……の?」 「触りたい、お前を肌で感じたい。 駄目……かな?」 プルプルと、冷司が首を振る。 そうして、思い切ってズボンと下着を脱いだ。 「恥ずかしい、恥ずかしいよ、こんなにまだ日が高いのに。」 後ろから、光輝が優しく包み込む。 「だって、夜会えないから仕方ないじゃん。 丁度いいさ、お前の恥ずかしそうな顔が良く見える」 「意地……悪だね、コウは」 冷司がパッと振り向き、光輝に抱きついた。 ダボダボのシャツが、可愛く見える。 光輝がクスッと笑って、冷司を抱きしめた。 「ラーメン味のキスかな?」 「きっと美味しいよ」 冷司が顔を上げ、頬を染めて自分から口づけする。 光輝は微笑みながら、それを受けて、そして反転した。

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