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第13話 一緒に暮らせればいいのに

冷司が光輝にキスをする。 舌を絡め、互いの舌を吸い、飽き足らずに口を離して舌先を絡め合う。 ヌルヌルざらりとした感触が、互いを興奮させる。 はあ、はあ、はあ、 チュックチュッ、チュッチュッ、クチャッ キスを交わしながら、光輝が冷司の尻を抱き寄せ、揉みしだく。 冷司を布団に寝かせ、片足を肩にかけた。 互いのパニスはまたガチガチに立っている。 光輝が冷司のペニスを優しく揉んで、指を後ろに持って行く。 アナルのふちを撫でると、冷司が赤い顔を両手で隠し、たまらず首を振った。 はあ、はあ、はあ、「あっあっあっ!恥ずかしいよ、汚いよ」 「汚くないよ。指だけ、入れてみる」 「でも」 「でもは無し」 横にあったワセリンを手に取り、冷司のアナルにドロリと落とす。 「力抜いて、無理しないから」 冷司がうなずき、ふうっと息を抜いた。 光輝の指が、ヌルンと穴に吸い込まれる。 冷司は力を抜くのが上手だ。 思ったより柔らかく、入り口を何度も出し入れすると思い切って2本に増やした。 「あ、ん、」 ヌルリと滑りが良く、抵抗が無い。 「はっ、はっ、はっ」 中の腸壁をこすっていると、冷司が口を開けて激しく息をする。 「大丈夫?」 「はっ、はっ、な、なんか、よく、わかんない。 気持ちよくなるわけ……」 無いと思う。だって、腸だし。 光輝が指を増やし、グイッと奥まで入れた。 「ひっ!イッ!」 ビクンと冷司の身体が跳ねる。 「な、なに?痛かった?」 「なんか……ひっ!そ、そこ……」 「ここ?」 そのポイントを、冷司が撫でる。 「ひっ!あっ!!あっ!」 「気持ちいいの?」 冷司が信じられないと言った顔で、コクコク頷く。 「力が抜けてザワザワする」 「やっぱさ、男同士でも気持ちいいとこのポイント残してんだなあ。神様って。 どうかな?なんか入りそうな気がする」 冷司が両手でグーを作って口を塞ぐ。 何だよ、めっちゃ可愛いじゃん。 光輝は棚からコンドームを取ると、自分のペニスにかぶせてワセリンを塗った。 「一度試しにやってみる」 冷司は言葉無く、コクコク頷く。 「さっきみたいに、息吐いて、力抜いて」 冷司が何度か深呼吸して、フウッと力を抜いた。 光輝がペニスをアナルに付け、グッと腰を入れる。 アナルが広がり、先が入ろうとした時、グッと抵抗が来た。 顔を上げると冷司が首を振る。 「やだ、怖い、怖いよ、どうしよう、どうしよう」 良く見ると、青ざめて手が震えている。 「ああ……しまった」 焦らないって言ってたのに、急いでしまった自分に後悔する。 冷司の足を下ろし、彼の額にキスをした。 「ごめん、今日は入れないって言ったのに。ごめんな」 「ごめんね、怖がりでごめん」 またポロポロ涙が流れる。 泣かせてしまった自分が情けない。 光輝が冷司を抱きしめて、ワセリンの付いてない方の手で頭を撫でる。 「泣くな、泣くな冷司。今日は俺が悪いから、許す」 「ひっく、ふふっ、ひっく、なにそれ」 冷司の涙を舐めて、顔中キスをした。 「チュッ、チュッ、チュッ 冷司君、愛してるから、泣かないで下さい」 「ひっく、はい、ひっく」 「狭いけど、一緒に風呂入ろっか」 「うん……でも」 「わかった、電気つけない」 「うん」 本当に狭いお風呂に入って、薄暗い中お互いを流し合う。 立ったままのペニスに苦笑して、抱き合い、キスしながら光輝が2人のペニスを合わせてしごいた。 「あっ!あっ!あっ!」 「うっ!あっ、くっ」 一緒に出して、光輝が冷司を抱きしめる。 肌と肌のふれあいが心地いい。 薄暗い中で見える傷跡は、気がつかない振りをした。 交通事故だろうか。 上半身を中心に随分ひどい傷跡で、隠したい気持ちもわかる。 彼の怖がりもこれから来ているのかもしれない。 「暗いお風呂もスリルがあるね」 「怖がりが何言うんだか。フフッ、やっと涙が止まったな」 「うん、ごめんね」 「あやまったから、お仕置き」 何度もキスをして、石けん付けて泡で互いを撫でて洗い合う。 「ん、ん、ふぁ、あ、なんか気持ちよくて立ってられなくなっちゃう」 「フフ、お前は髪も洗わないとな。俺のついちゃったし」 光輝がシャンプー取って冷司の頭を洗う。 流していると、冷司が光輝に抱きついてくる。 「ここで、一緒に暮らせればいいのに」 「大丈夫だよ、もう少し待て。俺がちゃんと迎えに行くから」 「うん、うん、待ってる」 並んで立つと、光輝が少し身長が高い。 冷司が薄暗い中、光輝を見上げて目をうるませる。 たまらず抱きしめると、彼に優しくキスをして頬を合わせた。 それだけで、今は幸せだと思う。 身体や髪も洗い終わると、先に冷司が出た。 ドアを閉めると、冷司が風呂の電気を付ける。 「ドライヤー借りるね」 「おう!」 やがて部屋からドライヤーの音が響く。 気がつくと、外は薄暗くなっている。 風呂を出て服を着た光輝が、少し心配そうに身支度する冷司を見ていた。 「遅くなったな、家族は大丈夫?一緒に行こうか?」 「何言ってんの、僕は男で成人式すんでるんだよ? タクシーで帰るから大丈夫だよ」 元気な冷司の姿を見ると、無理して入れずに良かったと思う。 光輝が電話でタクシー呼び、冷司に3000円を手渡した。 「これ、タクシー代。足りると思うけど…… お前んち知らないから、今度教えてくれな。 何かあったら電話かけろよ。 ああ、お前のスマホ買わなきゃな」 「スマホは……家にあるんだ。 ちょっと事情があって…… 今は助かるから、3千円は借りておくよ。ありがとう」 外からクラクションの音が響く。 「車が来た。じゃ、また明日図書館で会おう」 「うん、図書館で」 チュッとキスを交わし、玄関を出て一緒にアパートの階段を降りる。 冷司がタクシーに乗り込むと、中からバイバイと手を振った。 光輝もさよならの手を振り、見えなくなるまで見送る。 何だか慌ただしくて、楽しい1日だったな。 そう思い返しながら、アパートの階段を上がる。 唇に、柔らかな冷司の唇の感触が、肌に暖かな抱き心地が、身体に残って心地よい。 「でも急いだのは大失敗だったな。また明日謝ろう」 まさか、怖いと言って、泣かれるとは思わなかった。 本当にあいつは可愛くて、守ってやりたくなる。 ドアを開けて、冷司の杖が残されているのに気がついた。 明日返せばいいな。 そう思いながら、冷司が組み立てていたのを思い出しつつ、継ぎ目を抜いて折りたたむ。 だがその時の光輝は、その明日がなかなか来ないことになるとは思わなかった。

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