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おまけ その頃、冷司の父と母は……

2人でベッドの中、父はいつもの読書タイム。 シンとした空を見つめて、母は何だか眠れなかった。 「……やってるわね」 「え?何を?」 父は、本の内容に笑ってページをめくった。 「セックスよ!」 「え〜、音ぜんぜんしないじゃない」 「あなたがこんな頑丈な家建てたからじゃない。明日冷司見たらわかるわよ。 あの子、エッチした翌日、機嫌が良くて輪をかけて光輝さんにべったりだもの」 「え〜〜、そうかなぁ〜。毎日べったりじゃない? そう言えば、シャワーも行かないよね。 同性セックスって汚れないのかな〜、気にしないでいいのに」 「私……、光輝さんに聞いたのよ。昔から男の人が好きなの?って。 そしたらビックリよ。19で一度婚約までしてたのよ?19よ?」 「えーーーー!!なんで結婚しなかったの?」 「早く子供作ろうとしたけど子供出来なくて、調べに行ったらあの子、精子がいなかったんですって。 それで結婚がダメになったそうよ。 親が反対して、あっさりさようならでガッカリしたんですって」 「はー、なるほど。それで妙に落ち着いてるのか。 あれだけ男っぽくて精子ゼロか。きついなー」 「そうね、冷司が女だったら辛いわ」 「それって何か、男でよかったにならない?」 「ならないわよ、あたしだって孫は欲しかったもの。 ほんと、世の中って上手く行かないわね。 美紗貴まで男に走ったらどうしようかしら」 「美紗貴の彼女、高校生らしいよ」 「な!な!なんですっってえええ!!!」 「しー、しー、卒業まで手を出すなって言ってるから。大丈夫だよ。 って言うか、なんか別れるかもしんないって泣いてたけど。」 「なんてことかしら、私たち犯罪者の親になるかもしれないわよ?」 「今度はクビかなあ」 「のんびりそんな事言ってないで、ちゃんと……ちゃんと……どうすればいいのかしら?」 「黙って見守ってればいいさ。僕らだって駆け落ち同然だったし。 まあ、美紗貴は見た目いいのに、押しが弱いから失恋続きだよね。今の彼女3人目?」 パタンと本を閉じ、ライトを消した。 布団に入って、妻に寄り添う。 温かくなった布団は妻の体温だと思うと、愛おしくて身体をくっつけた。 「若いって、いいよね」 「……そうね」 「でも、年取ってもいいと思わない?」 「思うわ。……でも、不出来な妻でごめんなさい。 あんな事になるなんて、いまだにあの子の顔を見ると、自己嫌悪だわ。 いっぱいひどいこと言ったもの」 「何言ってんの、最高の妻だよ。君を置いていった僕が悪いんだ。 誰にだって間違いはあるさ。 来週、木曜から休み取ったから」 「え?どこか行くの?」 「行こうよ、九州、七つ星」 「あら!やだ!あら!いいわね!予約取れたの?」 「取れたよ〜〜デラックススイート、やっと取れたんだよ〜」 「きゃーーーーーーっ!!!うれしいっ!キスしちゃう!」 グイッと首に腕を回して引き寄せ、キスの嵐。 妻の喜びように満足して、夫もギューッと彼女を抱きしめた。 「はっはっは、君の為に旅行積み立てしてたんだー。 やっと満期来たー!んーーー、チュッ」 何だか久しぶりにキスを交わして、並んで眠る。 ワクワクが止まらなくて、夜遅くまで旅行の話で盛り上がった。 2人で旅行の間、冷司たちも二人っきりだ。 お互い息抜きで、お互い楽しみ! 2人は翌日から、旅行の準備でデート&お買い物とルンルン、ワクワクで過ごした。 冷司と光輝は結局同居を続けて、時にぶつかる母子を光輝と父がなだめながら、持ちつ持たれつ、普通に平和に暮らしましたとさ。 本当に終わり〜! ありがとうございました!

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