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魔力切れの影響で熱を出したという、みっともない姿を晒してから、幾分か日が過ぎた頃。
生徒の一人が攫われ、変態教師による腸が煮えくり返る姿を晒された事実はなかったかのように学園内はいつもと変わらない日常がそこにあった。
が、自分が所属するクラスに潜った途端、その日常は覆される。
朝の清々しさとは裏腹に重たいため息がちらほら見かけ、どんよりとした空気が流れる。
その原因は絶対にあの教師が突然いなくなったからだろう。
表向きは、実家に戻るよう言われたから、と。
やっぱり良いところの人だったんだと言う者がいる一方、それでもいて欲しかったと悲しむ者がいた。
そんな同級生の中、今までと変わらず自分の席で勉強をしていた。
あの教師を気絶させた後、秩序維持も兼ねている王立魔術師の父に頼んだからその後はどうなったかは分からない。
が、同じく王立魔術師である兄とそれらしい会話をしているのを偶然にも聞いたところによれば、誘拐したことを始め、「ルイス・アーテネルヴ」は偽名、教師資格はきちんとしたものであったものの、出自が今はない地名であったりと、埃を叩けば出てくるように偽証があったことから、償うために今は牢に入れられているらしい。
自白させれば、もっと罪が出てくるかもしれない。
当分の間は出られないかもしれないし、場合によっては出られない可能性もある。
どちらにせよ好都合だ。アラタスに危害を加える者はいなくなったのだから。
その問題は大丈夫そうだ。
次に問題はアラタスの言動だ。
熱に浮かされている時、友人と共にやってきたアラタスは血相を変えた。
さすがにあのような状態を見たのだから、人並みの反応といえよう。
そこまでいい。
だが、あの教師の話はするなと言った時、そう言うのは理由がある、それを自分は分かっているぞという面持ちでもったいぶるように耳打ちしてきたのだ。
「フリグスがぼくのことが好きだからだよ」と。
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