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第2話
「え……、なんて……?」
「だから、しんどい。
怠い。
疲れた」
「なんで急に……」
「急じゃない。
ずっと思ってた。
口にしなかっただけ」
目の前の男の顔が歪んだ。
明から様に傷付いた顔をしている。
だけど、全部事実だ。
目の前の男と俺は付き合っていた。
だけど、本音をぶつけた。
しんどい。
怠い。
疲れた。
と。
全部、本当なんだ。
知らなかったろ。
上手く隠してたからな。
下唇を噛んで此方の様子を伺う男。
そんなんしたら口が切れるだろうが。
そんな目で見るな。
つか、なんか喋れよ。
しんどいな。
前髪をクシャっと握りながら溜め息を吐き出す。
「……」
「はぁ…。
もっかい言わねぇと通じねぇのかよ」
「……もう、良い。
分かった」
喉から絞り出された震えた声。
もう1度、分かった……と消えそうな声がした。
俯かれ表情は分からなくなる。
なにを考えてるのか分からないのはお互い様だ。
他人の考えていることが手に取るように解る奴なんていない。
だから、言葉を交わすんだ。
だけど、俺達は最低限のそれしかしていない。
こんな時なのに。
いや、こんな時だからか。
「…………ごめん」
去っていく背中がやけに小さく見えた。
ほんと、しんどい……
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