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プロローグ:真夜中、突然の交わり

午前零時 製薬会社アンセム第1研究所 収容棟2階 誰もいない深夜の研究所。その一角で、僕は彼をパイプベットにうつ伏せに押さえつけていた。乱暴に病衣のズボンとボクサーパンツを脱がせて、カウパーでぐちょぐちょになった自らの屹立を秘蕾に押し当て、そのまま挿入していく。ほぐさずには流石に入らないと思っていたが、意外にも彼のナカはあっさりと僕の欲望を飲み込んだ。   「っっ…!!」    ヒュッと、彼_ピーター・ライネスは声にならない悲鳴をあげた。切れ掛けの電灯がチカリと点滅する。はじめて暴いた彼のナカは、とても暖かくてそれでいてきゅう…と刺激に弱々しく答えていて、それが僕の興奮をよりかきたてた。   「くそっ……!!い、きなり…挿入れてんじゃねぇよ…!」    両腕を僕の片手に拘束されているピーターくんは、こちらを振り返りながら今にも噛みつきそうな勢いで僕を睨みつける。本当は謝るべきなんだろうけど、でもしょうがないじゃないか。僕にとって初めての一目惚れの相手が挑発してきたんだから。彼の表情をうっとりと眺めながら、くすりと笑う。そんな僕を見てピーターくんはさらに不快そうに眉根を寄せた。自分の発言が悪かったとも思っているのだろう。特に抵抗はせずそのまま大人しくしていた。   「…ふふ、思ったよりも大丈夫そうだね。じゃあ動くよ。」 「てめっ…あ゛ぁ…っ!!」    大人しい様子の彼を見て少しの沈黙の後そう告げると、返事も聞かずに一気に奥まで突き上げる。彼は大きく腰をそらせビクビクと震え、濁音混じりの悲鳴をあげる。使い込まれている、だなんて自負してた彼の中は、まるで生娘のようにボクに絡みついて離さない。きゅうきゅうと締め付けてくる度に僕の背筋を快感が駆け巡っていった。    気持ちいい。あまりにも気持ちいい。  人生初めてであるセックスという行為は、こんなにも気持ちいいものなのか。今まで欲望を掻き立てられることが無かった僕には、この欲望と快楽はあまりにも刺激が強かった。  一気に奥までついたからか、少し身体の力が抜けた様子の彼を見て、僕は我慢できずそのまま乱暴にピストンの動きを開始する。ぱんぱんと、静かな収容室の中に肌と肌のぶつかる音が響き渡る。 「ぐ、ぅ……ン、は」    ピーターくんは唇を噛みながら唸るように低く喘ぐ。そんな様子がもどかしく、いじらしくて。ごりごりと彼の奥に自らの先を擦り付ける。彼は身体をびくびくと震わせるが、唸るだけでやっぱり声は聞かせてくれない。 「なんで声を我慢してるの?気持ちいいならちゃんと声を聞かせてよ、寂しいなあ…」 「ン、うるせえ、変態…っ、黙ってさっさとイキやがれ…っ!」 「ふーん……そういうこと言うんだ。」  どれだけ彼の肉壁が僕の欲望を絡め取り、はやく射精してというようにきつく締め付けていたとしても、彼はそれを声にしてくれないらしい。  それが気に入らない僕は、空いている手を彼の口元へ持っていった。かたく噛み締めている唇を指でこじ開けて、堪能するようにゆっくりと歯列をなぞり、柔らかで肉厚な舌を撫でる。ナカがより一層締め付けられる感覚がして僕はため息を漏らす。彼が嫌そうに僕の指に噛み付こうとすれば、ごちゅんと強めに奥を刺激してあげる。 「ん、…あぁ…ッ…あっ…!」 「ああ…やっと声を聞かせてくれた……可愛いね、ピーターくん。」  少しくぐもった喘ぎ声をあげるピーターくんを、僕は満足そうに眺めた後、再びピストンを開始する。パイプベットが大きく軋む。本来排泄の為の穴であるはずの彼の後孔は一連のやり取りの間に何故かぐちょぐちょと音をたてるくらいに濡れていて、ピストンの度にぬるぬると滑らかにナカに入っていって気持ちいい。彼もビクビクと気持ちよさそうに震えながら艶かしい声をあげていた。  僕は、こんな可愛らしい彼の声や姿を他の誰にも見聞きさせる訳にはいかないと感じた。そして改めてこの部屋の防音設備、ここに来る前に監視カメラを切っておいた自分に感謝をした。 「あぁ…っ、あ、ン、ふっ、あ…ッ!!」 「あぁ……ふふふ、気持ちいい、あッ、気持ちいいねピーターくん……あぁ……っ」  ゾワゾワと背筋を駆け巡る快感が止まらない。気がつくと、僕はピーターくんを後ろから抱きしめて情けなく腰を振り続ける事しか出来なかった。病衣の襟から見える首筋が艶めかしくひかり、鼻腔をほんのり汗の匂いがくすぐる。視線をあげると、虚ろにこちらを流し見る翡翠と漆黒の瞳が目に入る。彼は僕と目が合っているのに気が付くと、いたずらっぽく目を細めて「イケよ。」と笑った。 「あっ……!イ……クッッ!!!」    ドクリ。全身が心臓になったみたいにおおきく脈打つ。頭からつま先にかけて快楽が駆け抜け、びくびくと震える。そのまま彼のナカに溢れた熱を流し込んでしまった。荒れた息を整えながら、長い快感の余韻に浸るように力無く彼を抱きしめる。彼はナカに溢れた僕の熱を感じて小さく震えたあと、熱のこもった吐息をこぼしていたが、暫くするとまた眉間に皺を寄せて乱暴に僕の手から離れる。 「あ、あのっ、ピーターくん…」  僕が脱がしたボクサーと病衣のズボンを拾っている彼に恐る恐る声をかけたが、彼はギロリとこちらを見た後に「最低だな、お前。」と言っただけだった。

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