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第18話
『皆様、この列車は、各駅停車…』
アナウンスの声を聞きながら新幹線へと乗り込む。
久し振りの車内は、スーツの客から私服の客、年配者から赤ん坊まで様々な人が乗り込んでいた。
中には、ピアスも刺青も、手に染み込む染色の色も隠すことのない俺に、怪訝そうな顔をしたり目を逸らしたり、逆にジロジロ見たりする乗客も沢山いる。
久し振りの好奇の目だ。
けれど、どうでも良い。
俺は、俺だ。
『大宮、上野に停まります。終点、東京には、〇時〇分頃の到着を予定しております』
東京、か…
「東京、久し振り。
楽しみだね」
「あぁ」
「あと、やっぱりピアスしてるの格好良いよ。
紺らしくて似合ってる」
隣でにっこりと微笑む朔杜がいるから。
結城朔杜。
綺麗な名前を教えられたのは先週のこと。
それと同時に、お互い呼び捨てで呼んでみようということになった。
はじめはむず痒かったが、朔杜によく似合う名前を口にする度に胸の辺りがふわっとするようになってきた。
何度も繰り返し名前を呼ぶ練習をした。
その度に、思ったんだ。
これが、愛しいってやつらしいって。
「そうだ。
スプリットタン完成した?」
「見たい?」
「うん。
見たい。
気になる」
「良いよ。
東京付いたらな」
小声で「ホテルで」と付け足すと、朔杜はまた目を真ん丸にさせた。
だけど、すぐにニィっと笑う。
「どうしよっかなぁ」
そして、お茶を飲む俺の腕を揺らして仕返しをしようとしてくる。
やっぱり中身は小学生なのかもしれない。
そして、藍の花より俺の心を惹き付ける。
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