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第1話 休日の

少しだけ開けた窓から流れる、新緑の匂いを含んだ風。 もう少し寝ていてもよかったかな、とつらつら考えている、俺、古野海都23歳。 都内企業に勤める会社員だ。カレンダー通りの勤務で完全週休二日制。 今日は楽しい土曜日という事で、まったりソファに寝転がって至福の休日を過ごしているところ。 営業職のように、平日外を出歩いて疲れているわけではない。 けど、事務職だって疲れるのだ!毎日毎日パソコンみて、ひたすらキーボードを打って、、、ほんと、お疲れ様なのである。 家でごろごろするのが好きな俺は、寝起きのTシャツとスウェットパンツのまま、コーヒーメーカーに豆とお水をセットし、スイッチをオン。 ガリガリと豆を削る音のあと、コーヒーが抽出される。 そんなにコーヒーが好きってわけでもないのに、部屋を満たす香りを嗅ぐと幸せな気分になるから、何だろうな。 リビングにあるローテーブルに向かい、コーヒーを置く。 朝ごはんの前に、まずは飲み物だよなぁ。 ふー。 ごろん、とソファへ仰向けでねっころがり、コーヒーとソーサーをお腹へ。 良い香り〜 これぞ休日!というべき体勢で、お腹に置いたコーヒーカップを時々傾けては、中身をすする。 うま〜 テーブルに手を伸ばし置いてあるリモコンを取り、テレビをつける。何かないかなぁ。 テキトーにパチパチとチャンネルを変えては、コーヒーをすする。 お、これ近所だ・・・ふぅーん、こんな店あったんだ・・・ ボーっと観ながらコーヒーをすする、、、はずが、傾け過ぎてソーサーからも溢れ出る。 「あーーー、っちっっっ!」 ボーっとしていたせいで、反応に遅れる。 熱い!熱い! コーヒーカップにソーサーもあったんだから、たいして溢れていないだろうはずなのに、服を貫通しているのは何故か。 慌てて立ち上がり、着ていたTシャツを脱ぎ、見下ろすと、胸の間が真っ赤になっている。 洗面所に行き、タオルにたっぷりと水を含ませ、赤くなった患部にあてる。 少ししたらタオルをひっくり返し、またあてる。 うわー、タオルあてるだけで痛いってなんだろう。ヤバくない?いや、でも赤いだけだしな。。ちょっと引き攣れている感じもするけど、まぁ、日にちが経てば剥けて治るかな・・・ もう一度タオルを濡らし直して、タオルを持ったままソファへ。 あ、ソファにコーヒーのシミーーー、くそっ、目立つなぁ、カバー買って来て誤魔化すか。 ちょいちょいと拭いて、洗濯機へ。 棚からまたタオルを取り水で濡らし、さらにバスタオルを取って、ソファに戻る。 ソファにバスタオルを広げて掛け、ふたたびごろん。濡れタオルを胸のあたりに置いて、ほっとひと息。はー、気持ちいい。 タオルを置く瞬間、ピリッとする事が気持ちいいのではない。冷やすのが気持ちいいだけだ。 少しするとタオルをひっくり返し、またひっくり返し、痛いのも赤いのも、収まる気配がない。 っていうか、なんで胸と胸の間なんだよ。 胸ないだろーが。 実はちょっと筋肉ついてたのか? たまにいるよな、筋肉ついて、盛り上がった胸の奴。いや、あれはボディビルダーとか、筋トレ好きな奴だけかな。 実際、これが筋肉なら胸の周りは固いはずなんだけど、これが固いって範囲なのか?わからん。 うーん。 「なぁなぁ、今ひま?」 割と近所に住む友達に送ると、すぐに既読が付いて、返事が来る。 「暇だよー、遊びに行く?」 俺と同じく独身一人暮らしの同期、横島雄也は反応が良い。 「あのさー、ちょっとうちに来ない?うちでどこに行くか決めてから、二人で出かけるってどう?」 既読のまましばらく返信が止まったあと、電話が鳴る。 「うーん?なんでわざわざそっち行ってから決めるのがわかんないんだけどー。んー、まぁいいか、30分くらいしたらで良い?」 「あ、あのさ、ちょっとお願いがあってさ。脱ぎやすい服で来てくれる?」 「は?何?何?俺、海都に襲われちゃうわけ???なんで、服? いや、いや、いつからお前・・・ え?俺どっち側?そんないきなり?いや、最初から飛ばし過ぎじゃ・・・え? ほんと、どっち?」 「・・・何、言ってんだかよくわからないけど、30分後で良いよ。待ってるから。」 「待っててくれるんだ。あー、あー、待って、待って!30分じゃ準備が・・・やっぱり2時間後にして!ちゃんと準備してから行く!」 なんで30分からいきなり2時間になるんだよw 「雄也、準備にそんだけかかるって女子じゃないんだからさぁ、まぁ、良いけど。 んじゃ、2時間後で良いから、準備出来たら来てね。」プチっ。 「え、女子じゃないんだから?え?俺そっちじゃないってこと?良いの?マジ? って、電話切れてるーー!」

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